ASUS ProArt Display OLED PA32USDとPA329CDVは何が違うか|31.5型4K QD-OLEDの240Hz・SDI搭載機と120Hz・USB-C 96W機を公式仕様で整理した
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ASUS JAPANは、クリエイター向けブランドProArtから31.5型4K QD-OLEDモニターの「ProArt Display OLED PA32USD」と「PA329CDV」を、2026年10月9日から順次発売すると案内した。パネルはどちらも31.5型・3,840×2,160・応答速度0.1ms(GTG)で、ピーク輝度は1,000cd/m²。違いは、リフレッシュレートと入出力、キャリブレーションの仕組み、想定する現場に集約される。
PA32USDは映像制作の現場を意識した構成で、12G-SDI入力とモーター駆動のカラーメーターを持つ。PA329CDVはUSB-C 96W給電と自動KVMを備え、ノートPCやMacと組み合わせるデスク向けの構成になっている。ここでは公式の製品ページと発表資料をもとに、2機種の差を整理する。
基本スペック
| 項目 | PA32USD | PA329CDV |
|---|---|---|
| 画面サイズ・解像度 | 31.5型・3,840×2,160(4K) | 31.5型・3,840×2,160(4K) |
| パネル | QD-OLED | QD-OLED |
| リフレッシュレート | 最大240Hz | 120Hz |
| 応答速度 | 0.1ms(GTG) | 0.1ms(GTG) |
| ピーク輝度 | 1,000cd/m²(3%ウィンドウ) | 1,000cd/m² |
| HDR | Dolby Vision・HDR10・HLG/DisplayHDR True Black 400 | HDR10/DisplayHDR True Black 500 |
| 色域 | DCI-P3 99%・sRGB 100%(BT.2020対応) | DCI-P3 99%・sRGB 100%(BT.2020対応) |
| 色精度(工場出荷時) | ΔE<1 | ΔE<1.5(Calman Verified) |
| 階調 | True 10-bit | True 10-bit |
| 映像入力 | HDMI 2.1、DisplayPort 2.1、Thunderbolt 4×2、12G-SDI×2 | HDMI 2.1、USB-C、DisplayPort 1.4(DSC・入出力) |
| USB-C/給電 | Thunderbolt 4×2(うち1ポートが最大96W) | USB-C 1ポート(最大96W、映像・データ・給電) |
| USBハブ | USB 3.2 Type-A×2、Type-C×1 | USBハブ内蔵 |
| 保証 | 3年 | 3年 |
出典は、ASUS Japanの各製品ページとASUS JAPANの発表資料。国内価格は、公式の製品ページ・発表資料のいずれにも記載がなく、本記事では金額を扱わない。発売日は「2026年10月9日より順次」で、店舗ごとに取扱開始のタイミングが異なる。
PA32USD:映像制作の入出力とキャリブレーション
PA32USDの特徴は、SDI入力とキャリブレーションの自動化にある。12G-SDIを2系統備え、公式ページでは非圧縮の4K/60Hzまでの入力に対応するとされる。放送・ポストプロダクション用途で、カメラやレコーダーと直接つなぐ構成を想定した仕様である。カメラを直接接続した状態でHDRの見え方を確認できるHDRプレビュー機能も、発表資料に記載されている。
キャリブレーションは、モーター駆動で本体から出てくるカラーメーターを内蔵し、OSDメニューからセルフ・自動で実行できる。ProArt Calibration(Mac・Windows対応)と、ColourSpaceの内蔵に関する記載がある。外付けのキャリブレーターを机に置かずに、本体だけで定期的な校正を回せる点が、運用面での差になる。付属品には着脱式のモニターフードと金属製ハンドルが含まれ、スタンドは2種類が同梱される。
HDRはDolby Vision・HDR10・HLGに対応し、認証はVESA DisplayHDR True Black 400である。PA329CDVのTrue Black 500とは数字が逆転して見えるが、この数字は認証の区分名であり、公式ページ上のピーク輝度はどちらも1,000cd/m²と記載されている。
PA329CDV:USB-C 96Wと自動KVMのデスク構成
PA329CDVは、USB-C 1本で映像・データ・最大96Wの給電をまとめられる構成が軸になる。ノートPCの充電と画面出力を1本のケーブルで済ませる運用が取れる。DisplayPort 1.4(DSC)は入力・出力の両方を備え、複数台のモニターをDisplayPortでデイジーチェーン接続する設計である。
自動KVMは、1組のキーボード・マウスを2台のPCやノートPCで共用する機能で、入力の切り替えに合わせて操作先が変わる。KVMの仕組みと比較はモニター内蔵KVMの比較で整理している。
Mac向けには、色のプリセット「M Model-P3」と、ASUS DisplayWidget Center(macOS)が用意されている。DisplayWidget Centerを使うと、MacBookの輝度キーでモニターの輝度を調整できるが、公式ページでは、マウスカーソルがProArtモニター上にあるときに限られると記載されている。複数画面で使う場合は、この条件が操作の前提になる。
画面には傷への耐性を高めるコーティングが施されており、公式ページでは前世代のQD-OLEDと比べて2.5倍の耐傷性と案内されている。OLEDの保護機能として、ASUS OLED Care(パネル保護・画像保護)も両機種で共通して記載がある。
4Kの帯域条件:240Hzと120Hzの映像入力
4K・10bitの映像を非圧縮で送る場合、ブランキングを除いた概算でも、240Hzでは約60Gbps、120Hzでは約30Gbpsが必要になる(解像度×リフレッシュレート×30bitの計算値)。
| 入力 | 伝送帯域(規格上の上限) | 4K 240Hz 10bit | 4K 120Hz 10bit |
|---|---|---|---|
| HDMI 2.1 | 48Gbps | DSC(圧縮)が前提 | 非圧縮で収まる計算 |
| DisplayPort 2.1 | 最大80Gbps(UHBR 20) | 非圧縮で収まる計算 | 収まる |
| DisplayPort 1.4(HBR3) | 32.4Gbps(実効約25.9Gbps) | DSC前提 | DSC前提 |
PA32USDの公式ページは、HDMI 2.1・DisplayPort 2.1・Thunderbolt 4の各入力で4K 240Hzに対応すると案内している。接続機器側のグラフィックス出力が対応していない場合は、モニターの数値どおりの表示にならない。PA329CDVのDisplayPort 1.4は、4K 120Hzの10bitを通すにはDSCの利用が条件になる計算である。表の帯域は規格値と計算値であり、各機種でどの方式が使われるかは、製品の取扱説明書で確認する必要がある。
設置寸法・スタンド・保証
PA32USDのスタンドは、高さ0〜130mm、チルト−5°〜+23°、ピボット±90°、スイベル±30°に対応し、VESAマウントも使える。PA329CDVはチルト・スイベル・ピボット・高さ調整に対応するエルゴノミクススタンドで、VESA 100×100mmのマウントを備える。保証は両機種とも3年間である。OLEDの焼き付きがこの保証の対象になるかどうかは、公式ページに明記がなく、購入前に販売店と保証規定を確認しておきたい。有機ELモニター全体の保証条件は有機ELモニターの選び方で整理している。
既存のProArtとの位置づけ
ProArtのIPS液晶モデルには、27型5KのASUS ProArt PA27JCVがある。5Kの精細さ(218ppi)を取るならIPS、4Kで発色・黒の締まり・応答速度を取るならQD-OLED、という棲み分けになる。31.5型4Kの画素密度は、解像度と画面サイズからの計算で約140ppiになる。
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同じQD-OLEDの27型では、ASRock Taichi TCO27USAとTCO27QXAが4K 240HzとQHD 500Hzで分かれている。ゲーム寄りの構成か、制作寄りの構成かで、同じパネル方式でも入出力と付属機能の方向性が異なる。モニターの選び分けの入口はモニターの選び方にまとめている。Apple純正のプロ向けディスプレイとの比較はStudio Display XDRの整理が参考になる。
どちらを選ぶか
| 用途 | 向く機種 | 理由 |
|---|---|---|
| SDI機器と接続した映像制作・放送用途 | PA32USD | 12G-SDI×2、HDRプレビュー、Dolby Vision対応 |
| 本体だけで校正を回したい | PA32USD | モーター駆動の内蔵カラーメーター |
| ノートPC・Macと1本のUSB-Cで運用 | PA329CDV | USB-C 96W給電、M Model-P3、自動KVM |
| 複数台のモニターをDisplayPortで連結 | PA329CDV | DisplayPort 1.4(DSC)の入出力 |
| 4K 240Hzで高リフレッシュレートも使う | PA32USD | 最大240Hz、DisplayPort 2.1・Thunderbolt 4入力 |
エンジニア視点で見るとどう使えるか
開発・制作兼用のデスクでは、接続するPCの台数と出力端子が選択を左右する。USB-C 96WでノートPCを1本で受けつつ、デスクトップをDisplayPortかHDMIで受けるPA329CDVの構成は、2台運用の配線を単純にしやすい。PA32USDはThunderbolt 4の2ポートで同様の運用が組めるが、うち96W給電に対応するのは1ポートに限られる。SDIが不要な環境では、使わない入力端子が構成に含まれる仕様でもある。
気になる点
- 国内価格が公式に記載されていない:発売は順次開始とされているが、公式の製品ページ・発表資料に価格がなく、店舗ごとの販売価格の確認が必要になる
- 焼き付き保証の範囲が不明:3年保証の記載はあるが、OLEDの焼き付きの扱いは公式ページから読み取れない
- PA329CDVのDisplayPortが1.4:4K 120Hzの10bitはDSCが前提の計算になり、接続機器側の対応が条件になる
- DisplayWidget Centerの輝度連動に条件がある:Macの輝度キー操作は、カーソルがProArtモニター上にあるときに限られる
- Amazon.co.jpでは掲載が未確認:発売直後のため、購入先は家電量販店・ASUS公式ストアを含めて確認したい
まとめ
PA32USDとPA329CDVは、同じ31.5型4K QD-OLEDを使いながら、前者が12G-SDI・内蔵カラーメーター・240Hzという映像制作機、後者がUSB-C 96W・自動KVM・M Model-P3というデスク寄りの機種として分かれる。選ぶ基準は、SDI機器や自動校正が必要か、PC1台をUSB-Cで運用したいか、の2点に集約される。価格と焼き付きの扱いは、販売店の情報で再確認したい。
編集者:ナナ
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