LGの1,000Hzモニターは何を変えるか|25G590B-Bの179,000円と1フレーム1msを整理した
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リフレッシュレートの数字がまた一段上がった。LGエレクトロニクス・ジャパンは2026年8月27日、ゲーミングディスプレイ「LG UltraGear AI」シリーズの新製品として、24.5型フルHDの25G590B-Bを発表した。発売は10月1日、市場想定売価は税込179,000円前後となる。
特徴は、NVIDIA G-SYNC対応モニターとして世界初をうたうネイティブ1,000Hz駆動である。デュアルモードのように解像度を落として高リフレッシュレートを稼ぐ方式ではなく、フルHDのまま1,000Hzで動く点がLGの主張の中心にある。
ただし「1,000Hz」という数字は、そのまま体感の良さに比例するわけではない。24.5型フルHDに179,000円を出す判断材料として、フレーム時間・帯域・機能の排他関係という3つの角度から整理する。
25G590B-Bの基本スペック
| 項目 | 25G590B-B |
|---|---|
| パネルサイズ | 24.5型 |
| 解像度 | フルHD(1,920×1,080) |
| パネル方式 | IPS |
| リフレッシュレート | ネイティブ1,000Hz |
| 応答速度 | 1ms(GTG) |
| 輝度 | 400cd/m² |
| コントラスト比 | 1,000:1 |
| 視野角 | 水平/垂直 178° |
| 色域 | sRGB 99%/DCI-P3 90% |
| HDR | HDR10/VESA DisplayHDR 400 |
| VRR | AMD FreeSync Premium/NVIDIA G-SYNC Compatible |
| 映像入力 | HDMI 2.1 ×2、DisplayPort 2.1(UHBR20)×1 |
| その他端子 | USB Type-Cアップストリーム、4極ステレオミニジャック |
| スタンド調整 | 高さ135mm、チルト -5°〜35°、スイベル 左右90° |
| VESAマウント | 100×100mm |
| 外形寸法 | 幅572×奥行207×高さ376〜511mm(スタンド含む) |
| 重量 | 5.2kg |
| 消費電力 | オンモード時 28W |
| 製品保証 | 3年(液晶パネル・バックライト含む) |
| 発売日 | 2026年10月1日 |
| 市場想定売価 | 税込179,000円前後 |
パネルはIPS、応答速度は1ms(GTG)。色域はsRGB 99%/DCI-P3 90%で、DisplayHDR 400にとどまる。カラーマネジメント用途の数字ではなく、あくまでFPS向けの構成だと読み取れる。
一方で見落としやすいのは保証が3年で、液晶パネルとバックライトを含む点だ。競技用に長時間点灯させる前提の機材としては、この条件は評価の対象になる。
1,000Hzは1フレーム1ms、ただし体感差は逓減する
リフレッシュレートは「1秒間に何回書き換わるか」だが、実際の判断材料になるのは逆数のフレーム時間である。1,000Hzは1フレームちょうど1msという、計算が最も単純な地点にあたる。
| リフレッシュレート | 1フレームの時間 | 前段からの短縮幅 |
|---|---|---|
| 60Hz | 16.67ms | ー |
| 144Hz | 6.94ms | 9.73ms |
| 240Hz | 4.17ms | 2.77ms |
| 360Hz | 2.78ms | 1.39ms |
| 480Hz | 2.08ms | 0.70ms |
| 540Hz | 1.85ms | 0.23ms |
| 1,000Hz | 1.00ms | 0.85ms |
表にすると傾向がはっきりする。60Hzから144Hzに上げたときは1フレームあたり9.73ms縮むのに対し、540Hzから1,000Hzへの飛躍で縮むのは0.85msでしかない。リフレッシュレートの数字は倍近く増えても、短縮される時間は1ms未満という関係になる。
つまり240Hz環境から乗り換えても、表示までの待ち時間として詰まるのは合計3.17msである。人間の反応時間が一般に100ms超のオーダーで語られることを踏まえると、この3.17msを取りに行く価値があるかどうかは、競技レベルとプレイ内容に強く依存すると整理できる。
同じ「高リフレッシュレート」でも、有機ELのソニー INZONE M10S II(540Hz)のように応答速度0.02msクラスのパネルで残像そのものを潰しにいく方向とは、アプローチが異なる点も押さえておきたい。
帯域から見ると1,000HzはDisplayPort 2.1側の話になる
1,000Hz駆動で実務的に効いてくるのが接続端子の帯域である。単純計算で確認できる。
フルHD(1,920×1,080=2,073,600画素)を8bit RGB(1画素24bit)で1,000回送ると、
- 2,073,600 × 24bit × 1,000 = 約49.8Gbps
これは同期信号やブランキングを含まない、純粋な画素データだけの数字だ。実際の伝送ではさらに上乗せされる。
25G590B-Bの映像入力はHDMI 2.1 ×2とDisplayPort 2.1(UHBR20)×1という構成になっている。UHBR20は1レーン20Gbps×4レーンで、規格上80Gbps級の帯域を持つ。対してHDMI 2.1は48Gbps級で、上の49.8Gbpsという数字を圧縮なしで通すのは規格上の上限を超える計算になる。
1,000Hzを引き出す前提で見ると、DisplayPort 2.1側が主戦場になると整理できる。手持ちのGPUがDisplayPort 2.1 UHBR20に対応しているか、ケーブルがその帯域を通せるかは、本体価格とは別に確認しておきたい項目だ。デスクにモニターを増やす場合の端子の取り合いについてはデスクモニターの選び方でも整理している。
そしてGPU側の話も残る。1,000Hzを表示に反映させるには、ゲーム側が1,000fpsに近いフレームレートを出している必要がある。フルHDで1,000fpsが現実的に狙えるのは、描画負荷が極端に軽い競技系タイトルに限られる。
同じ24.5型フルHDのIPSで、現行の選択肢としてAmazonに並んでいるのが同社の25G550B-B(300Hz)だ。1,000Hzという数字を取りに行かない場合の比較対象になる。
LG ゲーミング モニター 25G550B-B 24.5インチ/フルHD@300Hz/IPS 1ms(GTG)/HDMI×2、DP/多機能スタンド
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MBR ProとVRRは同時に使えない
25G590B-Bには、動きの速い場面での残像感を抑える**MBR Pro(Motion Blur Reduction Pro)**が搭載されている。ただし公式仕様に、MBR Pro使用時はVRRが無効になると明記されている。
これは実運用ではそれなりに大きな制約になる。整理すると次の二択になる。
| 設定 | 得られるもの | 失うもの |
|---|---|---|
| MBR Pro オン | 高速な横移動での視認性 | FreeSync Premium/G-SYNC Compatible によるティアリング抑制 |
| VRR オン | フレームレート変動時のティアリング抑制 | MBR Proによる残像低減 |
フレームレートが安定して高い状態を保てる環境であればMBR Pro側に寄せる判断が成立するが、タイトルや設定によってfpsが上下する環境ではVRRを切る選択は取りにくい。「1,000Hzを常時出せる環境かどうか」が、この排他関係の落としどころを決める構造になっている。
そのほか、暗部の視認性を上げるブラックスタビライザー、クロスヘア、FPSカウンターといった競技向け機能に加え、コンテンツに応じて音響を最適化するAI Sound、表示内容を認識して画質を自動調整するAI Scene Optimizationを備える。
エンジニア視点で見るとどう使えるか
24.5型フルHDという構成は、作業用ディスプレイとしては情報量が少ない。同じ予算帯なら、ウルトラワイドや4Kのほうが1画面あたりの作業領域では有利になる。参考までに、34型21:9で作業領域を稼ぐ方向はLG 34U60ZB-Bの整理にまとめている。
したがって25G590B-Bは「メインの作業用モニターの置き換え」ではなく、競技用途の専用機として位置づけるのが素直だ。デスク上での扱いを見ると、この前提と整合する仕様がいくつかある。
- スタンド設置時の設置面積は幅572×奥行207mmで、24.5型としては奥行きが浅い
- 重量5.2kgはモニターアーム化のハードルが低い部類に入る
- VESA 100×100mm対応で、既存アームへの載せ替えが効く
- 消費電力はオンモード時28Wで、常時点灯させても電力面の負担は小さい
- スタンドに高さ・スイベル・チルトの目盛りがあり、設定を再現しやすい
USB Type-Cはアップストリーム側であり、映像入力はHDMI 2.1 ×2とDisplayPort 2.1 ×1の3系統に限られる。USB-C 1本でノートPCの給電と映像を兼ねるタイプのモニターとは設計思想が異なる点は、デスクの配線を考えるうえで先に押さえておきたい。
気になる点
価格の根拠が単一のスペックに寄っている。 税込179,000円前後という価格は、24.5型フルHD・IPS・DisplayHDR 400という構成だけを見れば説明がつかない。1,000Hzという数字にほぼ全額が乗っている構造で、この数字を活かせない環境では割高になる。
1,000Hzを出せる条件が狭い。 GPUがDisplayPort 2.1 UHBR20に対応していること、ゲーム側が1,000fps近くを出せること、この2つが揃って初めて公称値に届く。片方でも欠けると、実効リフレッシュレートは公称値を大きく下回る。
MBR ProとVRRの排他。 前述のとおり、どちらかを諦める必要がある。
ピーク輝度・パネルの詳細な素性は現時点の公表情報からは追いきれない。 輝度400cd/m²とDisplayHDR 400という記載はあるが、HDR表示時の挙動を判断できるだけの情報は発表段階では限られている。
まとめ
25G590B-Bは、フルHDのままネイティブ1,000Hzに到達した最初の民生向けモニターとして、リフレッシュレート競争のひとつの区切りになる製品である。一方で、1,000Hzが持つ意味を数字で追うと、240Hzからの乗り換えで詰まるフレーム時間は3.17ms、540Hzからなら0.85msにとどまる。
税込179,000円前後という価格に対して、この0.85msから3.17msを取りに行く必要があるかどうか。DisplayPort 2.1 UHBR20対応GPUの有無と、プレイするタイトルで1,000fpsに近い数字が出るかどうかが、判断の分かれ目になる。それが揃わない環境であれば、同じ24.5型フルHDでも300Hz級の製品を選び、差額をGPUや入力デバイスに回すほうが、総合的な応答時間は縮まる可能性が高い。
パネル・バックライトを含む3年保証という条件は、競技用途で長時間点灯させる前提だと素直に効いてくる。数字の派手さとは別に、この点は評価しておきたい。
公式情報
編集者:ナナ
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