ゼンハイザー ACCENTUM Clipはイヤーカフ型の本命か|LDAC×36時間再生の中身を整理した
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ゼンハイザーが同社初のイヤーカフ型完全ワイヤレスイヤホン「ACCENTUM Clip」を発売する。公式ストアの案内では、クリームが7月30日発売予定、ブラックが8月下旬発売予定。価格は35,200円である。
イヤーカフ型は耳を塞がずに音楽を聴けるオープンイヤー形式の一種で、外耳に挟んで装着する。ここ数年で各社が参入し選択肢が急増しているカテゴリだが、老舗オーディオブランドのゼンハイザーがLDAC対応で投入してきた点が今回の注目どころである。公式スペックを起点に、読みどころと既存オープンイヤー機との選び分けを整理する。
基本スペック
| 項目 | ACCENTUM Clip |
|---|---|
| 形式 | イヤーカフ型(オープンイヤー)完全ワイヤレス |
| ドライバー | 12mm ダイナミック型 |
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜40kHz |
| 対応コーデック | SBC / AAC / LDAC |
| Bluetooth | 6.0(マルチポイント対応) |
| 連続再生 | イヤホン単体 最大9時間/ケース込み 最大36時間 |
| 急速充電 | 10分の充電で約2時間再生 |
| 防塵・防滴 | IP54(イヤホンのみ) |
| 重量 | イヤホン片側 6.8g/ケース 43g |
| マイク | 片側2基のMEMS、AIノイズ低減 |
| アプリ | Smart Control Plus(EQ・Sound Check対応) |
| 価格 | 35,200円 |
| 発売日 | クリーム:7月30日/ブラック:8月下旬(予定) |
数字で目を引くのは3点。LDAC対応、ケース込み36時間、片側6.8gである。イヤーカフ型はAAC止まりの機種が多く、ハイレゾ相当のワイヤレス伝送に対応した機種はまだ少数派に属する。
LDAC対応イヤーカフという立ち位置
オープンイヤー機は構造上、耳栓型と比べて音響的に不利を抱えやすい。その前提でゼンハイザーは12mmダイナミックドライバーと音響チューニング、そしてLDACの組み合わせで音質側に寄せてきた。公式情報では、再生周波数帯域は20Hz〜40kHzをうたう。
もう1つの技術的な読みどころが音漏れ対策である。公式説明によれば、筐体形状で音波を耳へ直接導きつつ、内部のダンピング機構で不要な反射音を吸収する設計としている。オープンイヤー形式の弱点である「電車内で使いにくい」問題への回答であり、静かな環境でどこまで漏れを抑えられるかはレビュー待ちだが、設計思想として明確に対策している点は評価できる。
音量に応じて低音と細部の強調度を自動調整するダイナミックEQも搭載する。小音量時に低音がやせるというオープンイヤー機で起こりがちな不満に対する機能的な回答と読み取れる。
Shokz OpenFit Proとの選び分け
オープンイヤー市場では、耳を塞がないノイキャンをうたうShokz OpenFit Proが比較対象になる。両者は「耳を塞がない」点で共通するが、方向性は異なる。
| 項目 | ACCENTUM Clip | Shokz OpenFit Pro |
|---|---|---|
| 装着方式 | イヤーカフ型(外耳に挟む) | イヤーフック型(耳に掛ける) |
| ノイズ低減 | なし(通話用AIノイズ低減のみ) | フォーカスモード(平均14dB低減) |
| コーデック | SBC / AAC / LDAC | SBC / AAC |
| 単体再生 | 最大9時間 | 最大12時間 |
| 価格 | 35,200円 | 39,880円 |
整理すると、周囲の音を取り込みつつ再生音質を優先するならLDAC対応のACCENTUM Clip、オープンイヤーのまま騒音を軽減したいならフォーカスモードを持つOpenFit Proという棲み分けになる。メガネやマスクとの干渉を避けたい場合も、耳掛け構造のないイヤーカフ型に分がある。
エンジニア視点で見るとどう使えるか
在宅ワークやデスクワークでの「ながら聴き」用途と相性がよい。Bluetooth 6.0のマルチポイント対応で、ノートPCとスマートフォンの2台に同時接続し、PCで音楽を流しながらスマートフォンの着信にそのまま出る、という運用が1台で完結する。宅配や家族の呼びかけを聞き逃さないオープンイヤーの特性は、在宅環境では実用上の利点になる。
コーデックは接続端末で差が出る。LDACを活かせるのはAndroid端末やウォークマンなどの対応機で、iPhoneやMacではAAC接続になる。iPhone中心の環境ではLDACの恩恵は受けられないため、音質面の期待値は一段調整しておきたい。
通話面では片側2基のMEMSマイクとAIノイズ低減を搭載し、背景ノイズから声を分離する仕組みを持つ。ただしマイクの周波数範囲は100Hz〜10kHzと通話向けの帯域であり、会議用ヘッドセットの置き換えというより「外出先でも通話に耐える」水準と読むのが妥当だろう。IP54の防塵・防滴と10分充電で2時間再生の急速充電は、通勤・ジム用途まで含めた日常運用を支える仕様である。
気になる点
第一に価格。35,200円はイヤーカフ型としては高価格帯で、1万円前後の入門機が多いこのカテゴリでは明確にプレミアム路線である。ブランドと音質への投資と割り切れるかが判断の分かれ目になる。
第二にアクティブノイズキャンセリングは非搭載である。構造上オープンイヤーとANCの両立は難しく、これはカテゴリ共通の割り切りだが、騒音環境での集中用途には向かない。
第三に発売時期の色による差。クリームが7月30日、ブラックは8月下旬予定と約1ヶ月の開きがある。ブラック狙いの場合は待ちが発生する点に注意したい。また、執筆時点でAmazon.co.jpに商品ページは確認できておらず、当面は公式ストアが主な購入経路になる。
まとめ
ACCENTUM Clipは、急拡大するイヤーカフ型市場に「音質側から」参入する1台である。LDAC対応、12mmドライバー、音漏れ対策、ケース込み36時間と、スペック上はカテゴリ上位の構成を揃えた。
ながら聴きの快適さを保ちつつ再生音質に妥協したくない層、特にAndroid端末でLDACを活かせる環境の読者には有力な選択肢になる。一方、iPhone中心の環境や騒音低減を重視する用途では、価格差を含めて他のオープンイヤー機との比較検討をすすめたい。
編集者:ナナ
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