Shokz OpenFit Proは「耳を塞がないノイキャン」の最適解か検討した
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オープンイヤーに「ノイズ低減」という矛盾
耳を塞がないから周囲の音が聞こえる。それがオープンイヤーイヤホンの売りだったはずだ。その音を消してどうするのか。Shokzが4月22日に発売したOpenFit Proは、その矛盾にあえて正面から挑んだ製品である。価格は39,880円。オープンイヤー市場でここまで攻めた価格設定は珍しい。
OpenFit Proのスペックを整理する
| 項目 | スペック |
|---|---|
| ドライバー | 11×20mm楕円形(SuperBoost デュアルダイアフラム) |
| 再生周波数帯域 | 最大40kHz |
| Bluetooth | 6.1 |
| コーデック | SBC / AAC |
| ノイズ低減 | フォーカスモード(平均14dB / 最大19dB) |
| 空間オーディオ | Dolby Audio対応 |
| バッテリー | 通常12時間(ケース込み50時間) / フォーカスモード時6時間 |
| 急速充電 | 10分で4時間分 |
| 防水 | IP55 |
| 重量 | 片耳約12.3g |
| 充電 | USB-C+ワイヤレス充電対応 |
| マルチポイント | 対応 |
| 価格 | 39,880円(税込) |
フォーカスモードは「在宅ワークの第3の選択肢」になるか
在宅ワークのイヤホン選びには、ずっと2つの極端な選択肢しかなかった。AirPods ProのようなANCイヤホンで完全に外界を遮断するか、骨伝導やオープンイヤーで周囲の音をすべて受け入れるか。前者は集中できるが、宅配便のチャイムも家族の呼びかけも聞こえない。後者は安心だが、隣の部屋のテレビや窓の外の工事音にひたすら耐えることになる。
OpenFit Proのフォーカスモードは、その中間を狙っている。耳を塞がないまま、環境ノイズだけを14dB下げる。片耳3基のマイク(フィードフォワード2基+フィードバック1基)で環境音を拾い、逆位相の音で相殺する仕組みだ。密閉型のANCとは原理が異なるが、「カフェの雑踏がかなり静かになる」「オフィスの空調音がほぼ消える」という評価がある一方、「人の声は意図的に残す設計なので、会話は普通に聞こえる」という報告もある。
ただし、フォーカスモードをオンにすると、バッテリーは12時間から6時間に半減する。1日の作業時間を8時間とすると、途中でケースに戻して充電する運用が必要になる。10分の急速充電で4時間分回復するとはいえ、この点は購入前に理解しておくべきだ。
OpenFit 2との違いを整理する
現行のOpenFit 2(24,880円)との差額は15,000円。この差額で何が変わるかを整理する。
| 項目 | OpenFit Pro | OpenFit 2 |
|---|---|---|
| 価格 | 39,880円 | 24,880円 |
| フォーカスモード | 搭載 | なし |
| ドライバー | SuperBoost(デュアルダイアフラム、40kHz) | DualBoost |
| Dolby Audio | 対応 | 非対応 |
| Bluetooth | 6.1 | 5.3 |
| ワイヤレス充電 | 対応 | 非対応(2+は対応) |
| 操作方式 | 物理ボタン | 物理ボタン |
| 防水 | IP55 | IP55 |
| マルチポイント | 対応 | 対応 |
フォーカスモードが不要で、音楽を聴きながら周囲も聞こえればいいという使い方ならOpenFit 2で十分だ。15,000円の差額はほぼ「フォーカスモード+Dolby Audio+Bluetooth 6.1」の対価と考えていい。
AirPods Proとは土俵が違う
AirPods Pro 3(39,800円)とOpenFit Pro(39,880円)は価格帯がほぼ同じだが、比較対象にはならない。AirPods Proは耳を密閉してANCで静寂を作る製品。OpenFit Proは耳を開放したまま環境音を「少し下げる」製品。根本的にアプローチが異なる。同様に、WF-1000XM6のような密閉型ノイキャンイヤホンとも用途が違う。
OpenFit Proは「長時間つけていても耳が疲れない」「外音が自然に聞こえる安心感」という、密閉型では絶対に得られない価値を提供する。両方持っておいて、場面で使い分けるのが正解だろう。
気になるポイント
コーデックがSBC/AACのみ。aptXやLDACには非対応。Androidユーザーで高音質コーデックを重視する人には物足りない。ただし、オープンイヤーという構造上、コーデックの差が密閉型ほど体感に出にくいのも事実だ。
フォーカスモードの圧迫感。一部のレビューで、フォーカスモード使用時に「耳の奥に圧迫感を感じる」という報告がある。アプリからノイズ低減レベルを下げると緩和するとのこと。個人差があるため、可能であれば店頭で試聴してから判断したい。
音漏れ。オープンイヤーの宿命として、音漏れは避けられない。静かなオフィスや図書館で大音量を出すのは厳しい。在宅ワークや屋外利用がメインターゲットになる。
まとめ
Shokz OpenFit Proは、オープンイヤーイヤホンに「集中」という新しい価値を持ち込んだ製品だ。フォーカスモードの14dBという数値は、密閉型ANCの30〜40dBには遠く及ばない。だが、耳を塞がないまま「ちょっと静かにする」ことの実用的な価値は想像以上に大きい。
在宅ワークでSlack通知を待ちつつ作業する。家族の声は聞こえるが、空調のノイズは抑えたい。そんな「完全遮断でも完全開放でもない」環境を求めている人にとって、39,880円は十分に検討する価値がある。
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