バッファローのType-C 2ポートハブは「スマホ1ポート問題」の答えか|PD100W入力×10Gbpsを整理した
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スマートフォンやタブレットのUSB Type-C端子は、ほぼ例外なく1つしかない。充電すればデータ転送も映像出力も止まり、外付けSSDを挿せばバッテリーが減り続ける。この排他関係を解消するのがドッキングステーションだが、据え置き型を持ち歩く前提の製品ではない。
バッファローは2026年7月15日、スマホ・タブレット向けのUSB Type-C 2ポートハブ「BSHM2U100C1Pシリーズ」を発表した。出荷は2026年8月上旬より順次。約9gという質量に、PD入力100W対応ポートとUSB 3.2 Gen2のデータ/映像/音声ポートを1つずつ載せた、極端に用途を絞った製品である。
基本スペック
公式仕様は以下の通り。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型番 | BSHM2U100C1PBK(ブラック)/BSHM2U100C1PWH(ホワイト) |
| 端末側コネクタ | USB Type-C オス(USB 3.2 Gen2 最大10Gbps) |
| PD入力ポート | USB Type-C メス・供給用 最大入力100W |
| データ/映像/音声ポート | USB Type-C メス・最大10Gbps/最大4K 60Hz出力 |
| 端末への充電出力 | 最大92W |
| データポートの供給電力 | 最大7.5W(5V/1.5A) |
| 電源供給方式 | バスパワー/USB PD給電 |
| 外形寸法 | 約40×8×38mm(突起部含まず) |
| 質量 | 約9g |
| 保証期間 | 6か月間 |
| 価格 | オープン価格 |
| 出荷時期 | 2026年8月上旬より順次 |
100W入力なのに充電出力が92Wになる理由
カタログ上の「PD入力100W」と「充電出力92W」の8Wの差は、公式が明示している。本体の駆動電力と、データ転送ポートへの給電で最大8Wを消費するためである。
この8Wは仕様上固定で差し引かれるため、たとえば65W出力の充電器をつないだ場合、端末が受け取れるのは概ね57W相当まで、と読み取れる。バッファロー自身も「スマートフォン・タブレット推奨の電源アダプターの出力より8W以上大きい出力の電源アダプターの使用を推奨」と記載している。手持ちの充電器をそのまま流用すると、ハブを挟んだ分だけ充電速度が落ちる構図になる。
パススルー型のハブでは珍しくない損失だが、差分を数値で公開している製品は多くない。65W/45Wといった中位クラスの充電器を使っている場合、この8Wをどう見積もるかが導入判断の分かれ目になる。
データ側のポートは1つで3役をこなす
もう一方のType-Cポートは、データ転送・映像出力・音声入出力を兼ねる。
- データ転送:USB 3.2 Gen2 の最大10Gbps(規格値)
- 映像出力:最大4K 60Hz。接続機器側がDisplayPort Alternate Modeに対応している必要がある
- 音声入出力:スマホ側とオーディオ機器側の双方がUSB Type-C経由の入出力に対応している必要がある
注意すべきは、これらが同時に3つ使えるわけではなく、1ポートに何を挿すかで役割が決まる点である。ポート数が2つである以上、「充電しながら、もう1つを何かに使う」が上限になる。据え置きのフルドックとは設計思想が異なる。
もう一つの制約が、データポートの供給電力が最大7.5W(5V/1.5A)に抑えられていること。バスパワー駆動の外付けSSDは製品によってこの枠に収まらず、公式も上限を超える機器には外部電源の利用を求めている。ポータブルSSDを常用する構成を組むなら、SSDの選び方で整理した接続規格と消費電力の関係を先に確認しておきたい。
他のUSB-Cハブとの棲み分け
同じ「USB-Cハブ」でも、想定する接続元によって設計が変わる。
| タイプ | 代表例 | 接続元の想定 | 映像出力 | 携帯性 |
|---|---|---|---|---|
| スマホ直挿し2ポート型 | BSHM2U100C1P | スマホ・タブレット | 4K 60Hz | 約9g |
| ケーブル一体型4ポート | エレコム U3HC-C040PBK | ノートPC・タブレット | なし | 一体ケーブル約1m |
| 据え置きフルドック | Thunderbolt 5ドック等 | ノートPC | 複数画面 | 据え置き前提 |
ノートPC側でポートを増やしたい用途なら、エレコムの充電ケーブル一体型USBハブのようにポート数を稼ぐ設計のほうが噛み合う。逆に、スマホを外部ディスプレイにつないで作業する、あるいは撮影データをその場でSSDに逃がす、といった用途では、9gで済むこちらが合理的になる。タイプ別の全体像はドッキングステーションの選び方で整理している。
エンジニア視点で見るとどう使えるか
この製品が刺さるのは、スマホ・タブレットを「作業端末の一部」として扱っている構成である。
現場での映像確認:タブレットを充電したまま外部モニターへ4K 60Hz出力できるため、電源の確保できる場所であればバッテリー残量を気にせず長時間の表示ができる。ただしDisplayPort Alternate Mode対応が前提のため、接続する端末側の仕様確認が先になる。
撮影データの退避:動画撮影中や撮影直後に、充電を継続したまま外付けストレージへ書き出せる。10Gbps対応なので転送そのものはボトルネックになりにくいが、前述の7.5W制限があるため、ストレージ側は低消費電力のUSBメモリーやバスパワー動作の軽いSSDが現実的な範囲になる。
夜間バックアップ:公式が想定用途に挙げているのがこのパターンで、充電しながら写真・動画を外部ストレージへ流す。バッファローは自社の「写真バックアップ」アプリとの組み合わせを案内しているが、アプリ側には対応端末・対応OS・動作確認済みストレージの条件があるため、既存のバックアップ運用に組み込む場合は事前確認が必要になる。
いずれも「1ポートしかない」という制約が具体的な不便として現れている人向けであり、ポートに余裕のあるノートPC環境では出番が限られる。
気になる点
保証期間が6か月:USB周辺機器としては短めの設定である。抜き挿しの多い携行用途では接点の摩耗が避けられず、長期運用を前提にするなら消耗品として見るほうが実態に近い。
価格がオープン価格:発表時点で実売価格の目安は公表されていない。同種のパススルーアダプタは1,000円台から3,000円台まで幅があり、価格次第で評価が変わる製品である。
ポート数が増えない:端末側のType-Cを2つに分けるだけで、総ポート数は増えない。USB-A機器を使いたい、SDカードを読みたいといった要求には応えられない。
充電器・ケーブルは別売:本体にUSB充電器もケーブルも付属しない。8Wの目減りを踏まえると、手持ちより一段上の出力の充電器を追加する前提で考えたほうがよい。
まとめ
BSHM2U100C1Pシリーズは、スマホ・タブレットのType-Cポートを「充電用」と「それ以外」に割る、という一点に絞った製品である。PD入力100Wに対して端末側へ届くのは最大92W、データポートの給電は最大7.5Wという上限が公式に明示されており、性能の天井が事前に読める点は評価しやすい。
一方で総ポート数は増えず、保証も6か月と短い。ノートPC中心の環境で拡張性を求めるなら据え置き型ドックのほうが妥当で、この製品が効くのは「スマホやタブレットを充電しながら、もう1つ何かをつなぎたい」という限定された場面に絞られる。約9gという質量は、その用途に対して十分な説得力を持っている。
出荷は2026年8月上旬より順次。ブラック(BSHM2U100C1PBK)とホワイト(BSHM2U100C1PWH)の2色展開となる。
公式情報
編集者:ナナ
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