ヘッドホンの選び方|ワイヤレスNC・密閉モニター・開放型・ゲーミングの4タイプで整理した
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ヘッドホンは音質の良し悪しで語られやすいが、後から効いてくるのは音の傾向よりも、ハウジングを閉じるか開けるか、そして接続をワイヤレスにするか有線にするかの2点になる。ハウジングを閉じれば遮音は稼げるが空間の広さは犠牲になり、開ければ逆になる。ワイヤレスにすればケーブルから解放されるが、バッテリーと遅延という運用コストが乗る。以下の4タイプは、この2つの分岐の組み合わせで整理できる。なお本記事の仕様はメーカー公式サイトの公開情報に基づく。
耳を塞ぐか塞がないかで選択が決まる完全ワイヤレス側の整理はワイヤレスイヤホンの選び方にまとめている。
4タイプの位置づけ
| タイプ | 構造 | 接続 | 主な用途 | 代表機種 |
|---|---|---|---|---|
| ワイヤレスNC | 密閉 | Bluetooth+有線 | 移動・在宅の遮音 | Sony WH-1000XM6 |
| 密閉型モニター | 密閉 | 有線のみ | 録音・編集・遮音 | Sony MDR-M1 |
| 開放型 | 開放 | 有線のみ | ミックス・長時間の音楽鑑賞 | audio-technica ATH-R30x |
| ゲーミングワイヤレス | 密閉 | 独自2.4GHz+Bluetooth+有線 | ゲーム・ボイスチャット | ロジクールG PRO X 2 LIGHTSPEED |
同じ「オーバーイヤー型」でも、この4タイプは想定している設置場所と使用時間が違う。移動中に使うのか、机の前に固定するのかで、そもそも比較すべき数字が変わってくる。
タイプ1:ワイヤレスNC型
外の騒音を電気的に打ち消す前提で作られたタイプ。密閉構造で物理的に遮音したうえで、マイクで拾った騒音の逆位相をぶつける二段構えになっている。
Sony WH-1000XM6 の公式仕様は以下のとおり。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型式 | 密閉型 |
| ドライバーユニット | 30mm |
| 再生周波数帯域 | 4Hz - 40,000Hz(JEITA) |
| インピーダンス | 48Ω(有線接続時、POWER ON)/16Ω(POWER OFF) |
| 質量 | 約254g(コード含まず) |
| 電池持続時間 | 最大30時間(NC ON)/最大40時間(NC OFF) |
| 充電時間 | 約3.5時間 |
| Bluetooth | Version 5.3 |
| 対応コーデック | SBC / AAC / LDAC / LC3 |
| 有線接続 | ステレオミニ、コード長約1.2m |
| ソニーストア価格 | 59,400円(税込) |
注目したいのはインピーダンスが2つ書かれている点になる。有線でつないだ状態でも電源をONにすれば48Ω、OFFなら16Ωと変わる。つまり有線接続は「バッテリーが切れたときの非常手段」として用意されており、電源を切ると内部のアンプを通さない素の状態になる。バッテリー切れでも音は出るが、そのときはNCも効かないと整理できる。
同じ価格帯の競合としてはBose QuietComfort Headphones 第2世代があり、そちらは有線USB-Cでのロスレス再生に対応している。有線時に何ができるかは、この価格帯では差がつきやすい部分になる。
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タイプ2:密閉型モニター
制作現場で録音時のかぶりを防ぐために使われてきたタイプ。遮音は「外の音を聞かないため」ではなく「ヘッドホンから漏れた音をマイクに拾わせないため」という目的が先にある。
Sony MDR-M1 の公式仕様は以下のとおり。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型式 | 密閉ダイナミック |
| ドライバーユニット | 40mm |
| 最大入力 | 1500mW(IEC) |
| インピーダンス | 50Ω(1kHzにて) |
| 感度 | 102dB/mW |
| 再生周波数帯域 | 5 - 80,000Hz(JEITA) |
| コード長 | 約1.2m/2.5m(着脱式、左右両方) |
| 質量 | 約216g(ケーブル含まず) |
| ソニーストア価格 | 45,100円(税込) |
再生周波数帯域の上限が80kHzまで伸びている点は、可聴域を大きく超えているためカタログスペックとして受け取られやすい。ただし高域の限界が高いことは振動板が軽く速く動けることの裏返しでもあり、可聴域内の過渡応答に効いてくると整理できる。
運用面で効くのは、ケーブルが1.2mと2.5mの2本付属し、着脱式になっている点になる。デスクに固定して使うなら2.5m、ノートPCの前で使うなら1.2mというように、机の配置に合わせて長さを選べる。断線時にケーブルだけ交換できるのも、長期運用では効いてくる。
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タイプ3:開放型
ハウジングの背面を開けたタイプ。低域をハウジングの共振で増強しないため、音が外に漏れるかわりに定位と広がりが素直に出る構造になっている。
audio-technica ATH-R30x の公式仕様は以下のとおり。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型式 | オープンバックダイナミック型 |
| ドライバー | 40mm |
| 出力音圧レベル | 92dB/mW |
| 再生周波数帯域 | 15 - 25,000Hz |
| 最大入力 | 1,000mW |
| インピーダンス | 36Ω |
| 質量 | 約210g(コード除く) |
| コード長 | 3.0m |
| プラグ | 3.5mm金メッキステレオミニ(6.3mm変換アダプター付属) |
| 発売日 | 2025年3月28日 |
| 価格 | 18,150円(税込) |
4タイプのなかで唯一、遮音をあきらめている代わりに価格が18,150円と最も低い。長時間の装着を前提にした約210gという軽さと、ベロア素材のイヤパッドによる通気性も、開放構造だからこそ成立している。
一方でコード長が3.0mの固定式であり、持ち出す前提の設計にはなっていない。在宅の自室で使う想定が明確なタイプになる。開放型は音が漏れるため、同居人がいる部屋や共有スペースでは選びにくい。
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タイプ4:ゲーミングワイヤレス
Bluetoothではなく独自の2.4GHz接続を主軸に置き、遅延を詰めたタイプ。マイクが着脱式で付いてくるのもこのタイプの特徴になる。
ロジクールG PRO X 2 LIGHTSPEED の公式仕様は以下のとおり。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | G-PHS-005WLBK/G-PHS-005WLWH |
| ドライバーユニット | 50mm PRO-Gグラフェンドライバー |
| 感度 | 87.8dB SPL@1mW & 1cm |
| 周波数特性(ヘッドホン部) | 20Hz - 20kHz |
| インピーダンス | 38Ω |
| マイク | 着脱式6mm、カーディオイド、100Hz - 10kHz |
| 接続方式 | LIGHTSPEED(USB)/Bluetooth 5.3/3.5mm有線 |
| バッテリー駆動時間 | 最長50時間 |
| ワイヤレス通信範囲 | 最長30m |
| 本体重量 | 345g |
| 保証期間 | 2年間 |
| ロジクールオンラインストア価格 | 34,650円(税込) |
周波数特性が20Hz - 20kHzと、4タイプのなかで最も狭い。ここは音楽鑑賞用として設計されていないことの表れであり、可聴域に絞ったうえで足音や銃声の位置がわかることを優先した仕様と読み取れる。
本体重量345gは4機種のなかで最も重く、ATH-R30xの約210gとは135gの差がある。長時間の装着では首と側頭部への負担が変わってくる数字になる。
Web会議用途で見た場合、マイクが100Hz - 10kHzのカーディオイドである点は押さえておきたい。音声の明瞭度としては十分だが、収録用途に振るなら単体マイクのほうが選択肢が広い。この観点はマイクの選び方で整理している。
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数字の読み方:インピーダンスと感度
カタログで見落とされやすいのがインピーダンスと感度の組み合わせになる。
| 機種 | インピーダンス | 感度 |
|---|---|---|
| WH-1000XM6 | 48Ω(POWER ON)/16Ω(POWER OFF) | 103dB/mW(POWER ON) |
| MDR-M1 | 50Ω | 102dB/mW |
| ATH-R30x | 36Ω | 92dB/mW |
| G PRO X 2 LIGHTSPEED | 38Ω | 87.8dB SPL@1mW & 1cm |
インピーダンスが高いほど、同じ音量を出すのに必要な電圧が上がる。MDR-M1の50Ωは据え置きのオーディオインターフェースやヘッドホンアンプにつなぐ前提なら問題にならないが、スマートフォンのUSB-C変換アダプター直挿しでは音量が伸びにくい組み合わせになりうる。
感度も同時に見る必要がある。ATH-R30xは36Ωと低めだが感度が92dB/mWと控えめで、鳴らしやすさは数字ほど有利ではない。逆にMDR-M1は50Ωと高いものの感度が102dB/mWあるため、必要な出力は相殺される方向になる。「Ωが低い=鳴らしやすい」という単純な読み方は成立しない、と整理しておきたい。
なお感度の表記単位が機種によって違う点にも注意が必要になる。G PRO X 2の87.8dB SPL@1mW & 1cmは測定条件を明示した書き方で、dB/mW表記の3機種とそのまま横並びで比較できるものではない。
デスクに組み込むときの分岐点
同じデスクで使う前提でも、判断は用途で分かれる。
- 在宅勤務でWeb会議が多い:マイクが必要になるためワイヤレスNC型かゲーミング型。前者は本体内蔵マイク、後者は着脱式ブームマイクという違いがある
- 音を出せない時間帯に作業する:遮音が要るため密閉側。据え置きなら有線のモニター型のほうがバッテリー管理が不要になる
- 長時間つけっぱなしにする:質量が効く。210g〜254gの3機種と、345gのゲーミング型では前提が変わる
- 同居人がいる部屋で使う:開放型は音漏れが前提のため選びにくい
スピーカーとの併用を考えるなら、音を出せる時間帯はスピーカー、出せない時間帯はヘッドホンという切り替えも成立する。スピーカー側の選択肢はPCスピーカーの選び方にまとめている。
USB-C1本で完結させたい場合、有線モニター型はアナログ接続のためUSB-C変換アダプターかオーディオインターフェースが1つ増える。ポートの取り合いという観点では、ワイヤレス型のほうがデスク上の配線は減る。
気になる点
ワイヤレスNC型とゲーミング型はバッテリーを内蔵しているため、3年〜5年の時間軸ではバッテリー劣化が避けられない。連続使用時間30時間や50時間という数字は新品時の値であり、経年で短くなる前提で見る必要がある。有線のモニター型と開放型にはこの問題がないかわりに、ケーブルの断線というリスクが入れ替わりで乗る。MDR-M1のように着脱式ケーブルであれば交換で対応できる。
もう1点、ワイヤレスNC型のノイズキャンセリングは低い周波数の定常音に強く、人の話し声のように変動する音には効きにくい。オフィスの空調音は消えても、隣の会話が消えるとは限らない、という前提で見ておきたい。
まとめ
ヘッドホン選びで先に決めるべきは、音の好みよりも「密閉か開放か」「ワイヤレスか有線か」の2軸になる。移動と在宅を兼ねるならワイヤレスNC型、机に固定して遮音が要るなら密閉型モニター、自室で長時間の音楽鑑賞やミックスをするなら開放型、遅延とマイクを重視するならゲーミングワイヤレスという整理ができる。
価格は18,150円から59,400円まで3倍以上の幅があるが、これは性能の序列ではなく用途の違いによるものと読み取れる。開放型の18,150円は遮音とワイヤレスをあきらめた結果の価格であり、同じ土俵の廉価版ではない。
編集者:ナナ
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