マイクの選び方|USBコンデンサー・USBダイナミック・ワイヤレスピン・スピーカーフォンの4タイプで整理した
当記事はアフィリエイト広告を利用しています。詳細
マイクは「音質が良いかどうか」で比較されやすいが、後から効いてくるのは素子の質より、口元とマイクの距離をどう設計するかになる。同じ声を録るのでも、卓上に据えて声のほうを近づける機材と、マイクを衣服に付けて距離をゼロにする機材があり、両者では拾ってしまう環境音の量がまったく違う。以下の4タイプは、この「距離の作り方」で分かれている。なお本記事の仕様はメーカー公式サイトの公開情報に基づく。
最初に決まるのは「距離」と「指向性」
マイク選びの分岐は、収音方式より先に設置位置で決まる。卓上に置いて口元から20cm前後を維持するのか、衣服に装着して数cmまで詰めるのか、机の中央に置いて部屋全体を拾うのか。ここが決まると、必要な指向性がほぼ自動的に決まり、その結果として選べる製品カテゴリが絞られる。
指向性の表記も整理しておく。単一指向性(カーディオイド)は正面の音を優先し、背面を落とす。全指向性は360度を均等に拾う。双指向性は正面と背面を拾い、対面での収録に使う。カタログで「4つの指向性に対応」と書かれている場合、この切り替えができるという意味になる。
サンプリングレートとビット深度は、24bit/96kHzのように併記される。この数字が大きいほど記録できる情報量は増えるが、Web会議アプリ側が48kHzに丸める構成では差が出ない。用途がオンライン会議に寄っているなら、優先順位はサンプリングレートより指向性とノイズ処理のほうが高い。
4タイプの位置づけ
| タイプ | 素子・構成 | 指向性 | 接続 | 設置位置 |
|---|---|---|---|---|
| USBコンデンサー型 | 14mmエレクトレットコンデンサー×3 | 4種切替 | USB | 卓上スタンド/アーム |
| USBダイナミック型 | ダイナミック | 単一指向性 | USB-C/XLR | 卓上スタンド/アーム |
| ワイヤレスピン型 | 小型トランスミッター | 全指向性 | 2.4GHz無線 | 衣服に装着 |
| スピーカーフォン型 | 全指向性マイク×6 | 360度 | USB-C/Bluetooth | 卓上中央 |
上から下に向かって「マイクを口元に近づける度合い」が変わっていく。上2つは卓上に固定して声を近づける型、3つ目はマイク側を口元に移動させる型、4つ目は距離を諦めて範囲でカバーする型になる。
タイプ1:USBコンデンサー型 — 指向性を4種類から選べる
HyperX QuadCast 2(型番872V1AA)は、14mmのエレクトレットコンデンサーカプセルを3基積んだUSBマイク。公式仕様ではサンプリングレートが44.1kHz/48kHz/96kHz、ビット深度が16bitと24bit、感度が-7.5dB(1V/Pa、1kHz時)、全高調波歪みが0.05%以下(1kHz/0dBFS)となっている。本体寸法は11.6×15.6×26.8cm、筐体はアルミ製。
このタイプの中心的な機能は、指向性を単一指向性・全指向性・双指向性・ステレオの4種から切り替えられる点にある。本体の多機能ノブでマイクゲイン、再生音量、モニター音量、指向性の切り替えをすべて手元で操作でき、公式は「アプリに切り替えずに操作を完結させるための追加」と説明している。本体上部をタップするとミュートになるタップミュートセンサーも継続して搭載する。
コンデンサー素子は感度が高いぶん、空調やキーボードの打鍵といった周辺音も等しく拾う。単一指向性に設定した上で、マイクを口元に近づける前提で組むのが基本になる。付属のショックマウントはバネ式ピンで着脱でき、3/8インチと5/8インチのネジに対応するため、汎用のマイクアームへ載せ替えられる。接続はUSB 2.0規格、付属ケーブルはUSB-C to USB-CにUSB-A変換アダプターが同梱される。保証期間は2年。
HyperX QuadCast2 コンデンサーマイク USBマイク ゲーム実況 テレワーク ライブ配信 日本正規代理店品 872V1AA
¥22,800
Amazonで見る →
タイプ2:USBダイナミック型 — 環境音を拾わない方向に振る
Shure MV7+ は、単一指向性のダイナミックマイク。公式仕様では周波数特性が50Hz〜16,000Hz、A/D変換が16bitまたは24bitの44.1kHz/48kHz、USB接続時の最大音圧レベルが128dBとなっている。出力はUSB-CとXLRの2系統を備え、PCへ直結する構成と、オーディオインターフェース経由の構成を同じ本体で行き来できる。
タイプ1との実質的な差は周波数特性の上限と下限にある。50Hz〜16kHzという範囲はコンデンサー型の20Hz〜20kHzより狭いが、これは欠点というより設計方針で、人の声の帯域外を最初から拾わない。ダイナミック素子は感度が低く、正面以外の音が落ちやすいため、防音していない部屋や空調のある環境では有利に働く。
DSP側の機能も本体に内蔵されている。公式が挙げているのはオートレベルモード、デジタルポップフィルター、リアルタイム・デノイザー、トーンスライダー、リバーブ、コンプレッサー、リミッター、ハイパスフィルター。これらはMOTIV Mixデスクトップアプリから設定でき、ゲインやEQ、コンプレッサーも同アプリで調整する。前面のLEDタッチパネルはオーディオレベルメーターとして機能し、どこをタップしてもミュートになる。ヘッドホンジャックを備え、遅延のないモニタリングに対応する。
SHURE シュア MV7+ ポッドキャストマイクロホン ブラック MV7+-K : OBS 認証 ダイナミックマイク カーディオイド 単一指向性 USB-C XLR 有線 ノイズ除去 配信 ストリーミング YouTube 録音 レコーディング 音楽 実況 ゲーミング ボーカル DTM 宅録 iOS Android Mac Windows対応 【国内正規品/メーカー保証2年】
¥47,000
Amazonで見る →
タイプ3:ワイヤレスピン型 — 距離そのものをゼロにする
DJI Mic Mini は、トランスミッター(型番DMMT01)を衣服に装着し、レシーバー(DMMR01)で受ける2.4GHz帯のワイヤレスマイク。公式仕様ではトランスミッターが26.55×26.06×15.96mm・約10g、レシーバーが46.50×29.61×19.32mm・約17.8g。指向性は全指向性、周波数特性はローカットOFF時が20Hz〜20kHz、ON時が100Hz〜20kHz、最大音圧レベルは120dB SPL、等価ノイズは24dBAとなっている。
このタイプが解いているのは音質ではなく距離の問題で、マイクが常に口元から数cmの位置にあるため、卓上型より環境音の相対的な比率が下がる。公式が示す最大伝送距離は400m(遮蔽物や干渉のない開けた環境での測定値)で、立ち歩きながらの収録にも耐える。ローカットをONにすると下限が100Hzまで持ち上がり、空調やケーブルの擦れといった低域のノイズを入口で削れる。
駆動時間はトランスミッターが約11.5時間、レシーバーが約10.5時間(いずれもノイズキャンセリングOFF、近距離収録、干渉のない条件での測定値)。充電ケース(DMMC01)は約139g・1950mAhで、トランスミッター2台とレシーバー1台を同時に充電した場合、満充電のケースで約3.6回分をまかなえる。無線方式はGFSK 2Mbps、動作周波数は2.400〜2.4835GHz、Bluetooth 5.3にも対応する。トランスミッターの充電時間は約90分、レシーバーは約100分、ケースは約2時間。
DJI Mic Mini(2 TX + 1 RX + 充電ケース) ピンマイク 無線 超軽量 クリア音声
¥12,980
Amazonで見る →
タイプ4:スピーカーフォン型 — 入力と出力を1台にまとめる
Anker PowerConf S3 は、6つの全指向性マイクを360度に配置した会議用スピーカーフォン。公式仕様ではサイズが約124×124×28mm、重さ約340g、オーディオ出力3W、通信規格がBluetooth 5.3、連続通話時間が最大24時間となっている。入力はUSB Type-Cの5V/2A、接続方式はBluetoothとUSB Type-Cの2系統。公式オンラインストアの表示価格は9,990円(税込)。
このタイプはマイク単体ではなくスピーカーを内蔵している点が本質で、PCスピーカーの選び方で扱った出力側の機材と役割が重なる。マイクとスピーカーが同一筐体にあるため、公式はエコーキャンセリング、残響抑制、ノイズリダクションを併せて搭載していると説明している。オートゲインコントロールにより、声の大きさと本体までの距離に関係なく音量を最適化する機能も持つ。
対象は複数人が同じ部屋にいる会議で、1人がヘッドセットを付けずに参加する構成にも使える。ドライバーのインストールは不要で、AnkerWorkアプリからバッテリー残量の確認や音量調節ができる。なお公式が明記している制約として、本製品は複数台を連結して使う接続には対応せず、Linux搭載PCはサポート対象外となっている。iOS/Android機器からはBluetooth接続のみでの使用となる。
Anker PowerConf S3 (グレー) 【全指向性マイク搭載の主要会議ツールに対応したマイクスピーカー】
Amazonで見る →
周波数特性の下限と上限は「何を捨てるか」の宣言になる
4タイプを並べると、周波数特性の範囲は素子の性能というより設計の意図を示している。
| モデル | 周波数特性 | 指向性 | 最大音圧レベル |
|---|---|---|---|
| HyperX QuadCast 2 | 20Hz〜20kHz | 4種切替 | 公式非公開 |
| Shure MV7+ | 50Hz〜16,000Hz | 単一指向性 | 128dB(USB時) |
| DJI Mic Mini | 20Hz〜20kHz(ローカットOFF) | 全指向性 | 120dB SPL |
| Anker PowerConf S3 | 公式非公開 | 360度 | 公式非公開 |
MV7+ の50Hz〜16kHzは、人の声に必要な帯域を残して外側を切っている。QuadCast 2 の20Hz〜20kHzは可聴域を丸ごと拾えるが、その分だけ空調やPCファンの低域も入口を通過する。DJI Mic Mini はローカットのON/OFFでこの2つの方針を切り替えられる構造になっている。「広いほど良い」ではなく、環境ノイズを何で止めるかの選択になる。
エンジニア視点で見るとどう使えるか
USB接続型を選ぶ場合、先に確認すべきはポートの空きと種類になる。QuadCast 2 は付属ケーブルがUSB-C to USB-Cで、USB-A変換アダプターが同梱される構成。MV7+ もUSB-C接続で、iPhoneやPCへ直結できる。ノートPC1台でモニターや外付けストレージも同時に使う構成では、USBハブ・ドッキングステーションの選び方側の帯域配分と併せて考えたほうが安全になる。オーディオデバイスはハブの下流でも動作するが、バスパワー機器を多段で積むと認識が不安定になるケースがある。
OSをまたいで使う場合、ドライバー不要で標準のUSBオーディオクラスとして認識されるかが分岐点になる。PowerConf S3 は公式がLinux非サポートを明記しており、Linuxを常用する構成では選択肢から外れる。逆にQuadCast 2 はPC、Mac、PS5、Nintendo Switch、Steam Deckへの対応を公式が明示しており、機材を横断して使い回しやすい。
Web会議に加えてカメラ映像も扱う構成なら、マイクとカメラで内蔵マイクの扱いが競合しないかも確認しておきたい。カメラ側の選び方はWebカメラの選び方で整理している。
気になる点
タイプ1のコンデンサー型は、感度の高さがそのまま環境音の拾いやすさになる。防音のない部屋では、マイク本体の性能より部屋の条件が支配的になりやすく、単一指向性に固定して口元との距離を詰める運用が前提になる。QuadCast 2 は最大音圧レベルを公式が公開していないため、大音量のソースを扱う用途では事前の確認が必要になる。
タイプ2のMV7+ は、XLR出力を活かす場合にオーディオインターフェースが別途必要になり、総額が上がる。USB単体で使う限りは追加投資なしで完結するが、その場合XLR出力は使わないまま残る。
タイプ3のDJI Mic Mini は、トランスミッターとレシーバーの両方に充電が必要で、稼働時間が約11.5時間と約10.5時間で異なる。常設のデスク用途では、卓上型に比べて充電の手間が毎日発生する点が運用コストになる。
タイプ4のPowerConf S3 は、Anker公式が2023年4月1日から2024年3月15日までに販売した本製品について製品回収を実施していると告知している。中古や在庫品を検討する場合、対象期間の個体かどうかを公式のサポートページで確認する必要がある。また公式ストアではグレー・ネイビーとも在庫切れ表示となっており、入手経路は流通在庫に依存する状況にある。ミュートボタンを押しても、オンライン会議ツール上ではミュート表示にならない場合があると公式が明記している点も、運用上は把握しておきたい。
まとめ
4タイプの選び分けは、以下の順で絞ると早い。
- マイクを口元に近づけられるか — 装着できるならタイプ3、卓上固定ならタイプ1・2
- 部屋の環境音を機材側で落としたいか — 落としたいならタイプ2のダイナミック型、指向性を用途ごとに変えたいならタイプ1
- 収録するのは1人か複数人か — 同じ部屋に複数人いるならタイプ4
- スピーカーを別に用意するか — 出力側を分けるならタイプ1〜3、1台にまとめるならタイプ4
数字で比較する場合、サンプリングレートより先に指向性と周波数特性の下限を見たほうが、用途との対応が付きやすい。24bit/96kHzが効くのは録音した素材を後から編集する用途で、リアルタイムの会議や配信では、そもそも伝送側で圧縮される。
編集者:ナナ
※ この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。リンク先での購入により、当サイトが報酬を受け取る場合があります。