オフィスチェアの選び方|エントリー・国内ワークチェア・高機能・ゲーミングの4タイプで整理した
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デスク環境の中で、オフィスチェアは価格の開きが最も大きい部類に入る。同じ「メッシュのオフィスチェア」という括りの中に7,000円台の製品と26万円台の製品が同居していて、写真だけを並べると差が見えにくい。価格を分けているのは張り地の見た目ではなく、体に合わせて動かせる箇所がいくつあるか、そして何年使う前提で部品が供給されるかの2点になる。以下の4タイプは、この2軸の組み合わせで整理できる。なお本記事の仕様はメーカー公式サイトの公開情報に基づく。
先に決めるのは「調整軸の数」と「使う年数」
チェアの調整箇所は、座面高・座面奥行・リクライニング角度・リクライニング強さ・アームレスト・ランバーサポート・ヘッドレストの7系統に分けられる。エントリー価格帯では座面高とロッキングの2系統しか動かないことが多く、上位機になるほど1系統ずつ増えていく。
アームレストの「◯D」表記はこの分かりやすい指標になる。2Dなら高さと前後、4Dなら高さ・前後・左右・回転、5Dならそこに角度が加わる。キーボードとマウスの位置に肘を合わせられるかどうかが決まる部分なので、キーボードの選び方で扱った打鍵位置の話とは表裏の関係にある。
もう一方の軸が使用年数になる。1日8時間座る用途では、ウレタンのへたりとガスシリンダーの抜けが数年単位で効いてくる。ガスシリンダーはDIN 4550のCLASS 4といった規格で耐荷重が示されることがあり、保証年数と合わせて長期運用の目安として読める。
4タイプの位置づけ
| タイプ | 調整系統の目安 | 価格の目安 | 向く使い方 |
|---|---|---|---|
| エントリーメッシュ | 座面高・ロッキング・肘の跳ね上げ程度 | 1万円前後 | 使用が1日2〜3時間、机下に収めたい |
| 国内メーカー製ワークチェア | 座面高・奥行・可動肘・チルト・ヘッドレスト | 6万〜17万円 | 1日8時間、姿勢を変えながら作業する |
| 高機能エルゴノミクス | 上記+独立ランバー・5D肘・メモリーロッキング | 20万〜30万円 | 腰への負荷を機構で抑えたい |
| ゲーミング | 4D肘・大型ランバー/ヘッドレスト・深いリクライニング | 5万〜7万円 | 仮眠まで含めて椅子で完結させたい |
タイプ1:エントリーメッシュ(1万円前後)
サンワダイレクトの150-SNCM011は、背もたれをメッシュにしたミドルバックのチェアで、直販価格は7,360円になる。肘掛けが跳ね上げ式で、上げるとデスク天板に干渉しにくくなり、椅子を机下に押し込める。ガス圧の上下昇降と座面360度回転、キャスターまでは備える。
このクラスで動くのは座面高と肘の跳ね上げ程度で、座面奥行やランバーサポートの調整は入らない。座面が体に合うかどうかは初期設計に依存するため、体格が標準から外れる場合は上のクラスを見た方が読みが立つ。ミドルバックで圧迫感が少ない点は、狭いデスクや会議スペースでは利点になる。
サンワダイレクト オフィスチェア メッシュ 肘掛け 跳ね上げ式 ミドルバック キャスター付き 150-SNCM011
Amazonで見る →タイプ2:国内メーカー製ワークチェア(6万〜17万円)
コクヨのingは、座面が360度グライディングする機構を持つチェアになる。2層のメカを組み合わせることで、前傾・後傾に加えて左右のひねりにも追随する構造で、メッシュタイプは背もたれがクッションタイプより軽量なぶん体を動かしやすいと説明されている。座面の滑りを抑える3D姿勢サポートシート、後傾時に太もも裏の圧迫を減らすフロントフリーチルト、動きを止めるグライディングストッパーも備える。
ヘッドレスト付き可動肘仕様の外形はW710×D670〜785×H1180〜1270mm、座面高425〜515mm、肘高615〜805mm、質量は約19.7kgになる。可動肘は上下100mmのストロークと内側60度の角度調整を持つ。メーカー希望小売価格は、メッシュタイプ/アルミ肘/アルミポリッシュ脚の構成で115,000円(税抜)と示されている。
なお、この種のオフィス什器は流通経路によって価格が変わる。通販サイトで扱われている構成にはメーカーによる配送・設置・組立が含まれるものがあり、その場合は希望小売価格より上振れする。購入時は本体価格と組立サービスのどちらが含まれた金額かを確認したい。
この価格帯の実質的な価値は、機構よりも部品供給と修理体制の側にある。オフィス什器として法人に納入される製品は、数年後にキャスターやガスシリンダーだけを交換できる前提で流通している。3年以上使う想定なら、この点は本体価格に含まれる要素として計算に入れられる。
コクヨ イング オフィスチェア メッシュタイプ 可動肘 ブラック CR-G3415E6G4B6-VN (メーカー配送・設置・組立)
¥170,032
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タイプ3:高機能エルゴノミクス(20万〜30万円)
エルゴヒューマンのPRO2 High(型番EHP2-HAM-5D-DR)は、独立式ランバーサポートを軸に据えたチェアになる。ランバーサポート部だけを取り出して硬さを調節できる点が、上位2タイプとの明確な違いになる。リクライニングは110度から138度の間で好みの角度を記憶できるメモリーロッキング方式で、角度を毎回探し直す手間が省ける。
アームレストは高さ・前後・左右・水平角度・垂直角度の5点を調整できる5D仕様。座面高さ・リクライニング・座面奥行の操作を1本にまとめたハイブリッドレバーと、座面を前傾させて姿勢の崩れを抑える前傾チルト機能も持つ。外形はW700×D665×H1150〜1315mm、座面高455〜540mm、肘高630〜820mm、重量22.6kg。メーカー希望小売価格は264,000円(税込、2026年8月1日時点)と公表されている。
26万円という数字は、1日8時間・年250日・5年で計算すると1時間あたり約26円になる。同じ計算をエントリー機に当てはめると1時間あたり1円を切るため、金額の差そのものは大きい。判断材料になるのは、腰の負担を機構で減らすことにその差額を割り当てるかどうかという配分の問題に整理できる。
エルゴヒューマン2(ergohuman2) オフィスチェア フレーム:ブラック メッシュ:ブラック ヘッドレスト付き プロ ハイタイプ EHP2-HAM-BF-BK
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タイプ4:ゲーミング(5万〜7万円)
AKRacingのPro-X V2は、内部メタルフレームを再設計して横幅550mm・背もたれ高950mmを確保したモデルになる。アームレストは高さ・前後・左右・回転の4Dアジャスタブル仕様で、ランバーサポートとヘッドレストは取り外しできる。ガスシリンダーはDIN規格のCLASS 4で最大耐荷重150kg、リクライニングはフラットに近い位置まで倒せる。キャスターはPU素材で、フローリング上でも動作音が抑えられる構成になる。
張り地は高耐久PUレザーで、通気という一点ではメッシュに劣る。一方で保証は5年(一部部品は対象外)と長く、耐荷重150kgの規格表記と合わせると、長期運用の裏付けは価格帯の割に厚い部類に入る。AKRacing公式直販ストアでは、コラボレーションモデルのPro-X V2 ジャイアンツが59,800円(税込)で掲載されている。
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エンジニア視点で見るとどう選ぶか
チェア単体ではなく、デスクとモニターを含めた高さの連鎖で考えると選択肢が絞れる。座面高の調整幅がチェア側の下限を決め、天板高がデスク側で決まり、視線の高さがモニター側で決まる。3つのうち2つが固定されていると、残る1つに負担が寄る。
天板高が固定の机を使っている場合、座面高の調整幅がそのままフィッティングの余地になる。ingの425〜515mmとPRO2 Highの455〜540mmでは下限が30mm違い、身長の低い側では前者が有利に働く。逆に天板側を動かせるなら、昇降デスクの選び方で扱ったように天板を椅子に合わせる方向で解ける。
アームレストとキーボードの高さを揃えられるかも見ておきたい部分になる。肘高615〜805mm(ing)や630〜820mm(PRO2 High)という数値は、天板高720mmの机に対して肘を天板とほぼ同じ高さに置けるかを判定する材料になる。ここが合わないと、モニターアームの選び方で画面位置を最適化しても、肩の負担だけが残る。
気になる点
4タイプに共通する制約として、実物に座らずにフィットを確定させることは難しい。座面幅・座面高・肘高といった数値は公開されているが、座面の前後長やクッションの沈み込みは数値化されにくく、体格との相性が残る。ショールームや店頭で試座できる製品であれば、その機会を先に使う判断が立つ。
搬入と設置も見落とされやすい。PRO2 Highの22.6kg、ingの約19.7kgという重量は、階段のある住居では移動そのものが作業になる。組立済みで届く販売形態か、購入者側で組み立てる形態かで手間が変わるため、購入前に配送形態を確認しておきたい。
エントリー機の跳ね上げ肘は机下収納に効く一方、肘を上げた状態では肘置きとして機能しない。省スペース性と肘の支持は同時に成立しないため、どちらを取るかは机の広さで決まる。デスク上の面積が厳しい場合は、ノートPCスタンドの選び方やデスクライトの選び方で扱った、天板を空ける方向の道具と合わせて考えると全体が収まりやすい。
まとめ
オフィスチェアの4タイプは、調整できる系統の数と、何年使う前提で部品が供給されるかで分かれる。1日2〜3時間の使用で机下に収めたいならエントリーメッシュ、1日8時間で姿勢を変えながら作業するなら国内メーカー製ワークチェア、腰の負担を機構で抑える方向に予算を割り当てるなら高機能エルゴノミクス、リクライニングを深く倒して椅子で完結させたいならゲーミングという対応になる。
金額だけを並べると7,360円と264,000円の差は36倍になるが、使用時間で割ると1時間あたり数十円の差に収まる。判断の実体は「その差額を腰と肩の負担軽減に配分するか」であり、机とモニターの高さが固定されているかどうかで、チェア側に求める調整幅も変わってくる。
編集者:ナナ
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