スイッチングハブの選び方|1GbE・2.5GbE・10GbE・PoE給電の4タイプで整理した
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スイッチングハブはLANポートを増やすための機器だが、選ぶ製品によってネットワーク全体の上限速度と消費電力が変わる。1Gbps対応の安価なモデルから、10GBASE-Tを全ポートに備えたモデル、カメラやアクセスポイントへ電力を送るPoE給電モデルまで、価格帯は数千円から数万円まで開く。
ここでは1GbE・2.5GbE・10GbE・PoE給電の4タイプについて、公式仕様に基づいて位置づけを整理する。
ハブを替えて速くなる条件、変わらない条件
ハブの速度表記は「そのポートが出せる上限」であって、通信速度そのものを引き上げる装置ではない。速度が上がるのは、通信の両端とその間の経路がすべて同じ速度に対応している場合に限られる。
たとえばNASからPCへ2.5Gbpsで転送したい場合、必要な条件は次の4つになる。
- NAS側のLANポートが2.5GBASE-T以上に対応している
- PC側のLANポートが2.5GBASE-T以上に対応している
- 経由するハブの該当ポートが2.5GBASE-T以上に対応している
- 使用するLANケーブルが該当規格に適合している
このうち1つでも1Gbpsのままなら、その区間が上限になる。PC側のポートが1Gbpsで止まっている場合はハブを替えても変化しないため、先に有線LANアダプターの選び方で端末側の速度を確認しておくと無駄が出にくい。
一方で、インターネット回線の速度はハブでは変わらない。回線側が1Gbpsなら、宅内を10GbE化しても外向きの通信は1Gbpsで頭打ちになる。ハブの高速化が効くのは、NASやPC同士といった宅内で完結する通信になる。
4タイプの位置づけ
| タイプ | 対応速度 | 主な用途 | 実売の目安 |
|---|---|---|---|
| 1GbE アンマネージ | 10/100/1000Mbps | ポート増設、テレビ・ゲーム機・プリンター | 2,000〜4,000円 |
| 2.5GbE マルチギガ | 〜2.5Gbps | NAS・PC間の転送、Wi-Fi 7ルーターの下段 | 8,000〜15,000円 |
| 10GbE マルチギガ | 〜10Gbps | 動画編集の共有ストレージ、10GbE NAS | 40,000〜80,000円 |
| PoE給電 | 10/100/1000Mbps+給電 | ネットワークカメラ、アクセスポイント、IP電話 | 5,000〜10,000円 |
速度と給電は独立した軸になる。PoEは電力をLANケーブルで送る仕組みであり、通信速度を上げる機能ではない。給電が必要なら速度軸とは別に選ぶことになる。
タイプ1:1GbE アンマネージ
もっとも数が多く、価格も安い層になる。テレビ・レコーダー・ゲーム機・プリンターのように1Gbpsを使い切らない機器をまとめる用途では、この層で十分足りる。
判断材料になるのは速度よりも筐体と電源の形式になる。金属筐体は放熱に有利で、電源内蔵モデルはACアダプターの場所を取らない。テレビ裏やルーター収納ボックスのような、熱がこもりやすく空間の狭い場所ほど効いてくる。
バッファロー LSW6-GT-5NS/BK
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ポート | 5ポート(すべて1000BASE-T) |
| 筐体 | 金属筐体・ファンレス |
| 電源 | 電源内蔵(ACアダプター不要) |
| スイッチング・ファブリック | 10Gbps |
| 消費電力 | 最大2.5W |
| 外形寸法 | 143×29×86mm |
| 質量 | 約310g |
| 設置 | 背面マグネット・壁掛け穴 |
| 保証期間 | 1年間 |
電源内蔵とマグネット固定の組み合わせが、この層での差になる。スチールラックやデスクの側面に貼り付けてしまえば、天板の上にケーブルの束を出さずに済む。ループ検知機能を搭載しており、配線を誤って輪にした場合にランプの点滅で該当ポートを知らせる。
節電機能は2種類が用意されている。「おまかせ節電」がポートのリンク状態とケーブル長に応じて電力を調整し、「おまかせ節電NEXT」が通信していない期間のアイドリング信号を止める。後者はIEEE802.3az(EEE)に接続機器側も対応していることが条件になる。
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タイプ2:2.5GbE マルチギガ
1GbEの次の段として現実的な選択肢になる層になる。10GbEと比べて価格が1桁近く下がるうえ、既設のカテゴリー5eケーブルをそのまま流用できるため、配線をやり直さずに速度を上げられる。
Wi-Fi 7ルーターや近年のNASが2.5GBASE-Tポートを備えるようになり、ハブだけが1Gbpsで残るという構成が起きやすい。その隙間を埋める位置づけになる。
TP-Link TL-SG105-M2
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ポート | 5ポート(すべて2.5Gbps対応) |
| スイッチング容量 | 25Gbps |
| 筐体 | 金属筐体・ファンレス |
| 適合ケーブル | カテゴリー5e以上 |
| 設定 | 不要(アンマネージ) |
| その他 | 802.3x フローコントロール、802.1p/DSCP QoS |
全5ポートが2.5Gbps対応で、上流も下流も速度を落とさずに構成できる。上位ポートだけが高速な混在型と違い、どのポートに挿しても速度が変わらない点は配線を考える手間を減らす。
ファンレスかつ金属筐体のため、常時通電で静粛性が求められる寝室やデスク下にも置きやすい。設定画面を持たないアンマネージ機のため、VLANやリンクアグリゲーションを組む用途には向かない。
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タイプ3:10GbE マルチギガ
動画素材の共有や大容量バックアップのように、2.5Gbpsでも待ち時間が発生する用途向けの層になる。価格は一段上がり、発熱と騒音も無視できなくなる。
このクラスは全ポート10GBASE-Tのモデルと、10Gアップリンクだけを備えるモデルに分かれる。前者はアイオーデータのBSH-XGシリーズのように内蔵電源とファンレスを両立した製品も出てきているが、多くは冷却ファンを持つ。
NETGEAR XS505M-100AJS
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ポート | 100M/1G/2.5G/5G/10G RJ-45×4+10G/1G SFP+×1(コンボ) |
| 帯域 | 100Gbps |
| パケットバッファ | 128KB |
| ジャンボフレーム | 最大9Kパケット |
| 冷却 | 低騒音アクティブファン×1 |
| 動作音 | 28.8dB(25℃時) |
| 最大消費電力 | 22.5W |
| 外形寸法 | 328×169×43.2mm |
| 質量 | 1.38kg |
| 動作温度 | 0〜40℃ |
| 保証 | 本体5年(外部電源アダプターは2年) |
RJ-45側が5速対応で、10GBASE-Tだけでなく5G・2.5G・1G・100Mを自動で認識する。既存の1Gbps機器を挿しても動くため、10GbE化の途中段階でも構成が破綻しない。SFP+ポートは光ファイバーとRJ-45のコンボ仕様になっており、別フロアとの敷設で光を選ぶ余地が残る。
一方でファンを搭載しており、28.8dBという公称値は無音ではない。デスク上ではなくラックや別室に置く前提の機器と読み取れる。1.38kgという質量とラックマウント可能な横幅も、その位置づけを裏づけている。
【正規品】 ネットギア NETGEAR スイッチングハブ 5ポート 10G / 5G / 2.5G / 1G / 10G SFP+ 金属筐体 リミテッドライフタイムハードウェア保証 アンマネージスイッチ XS505M-100AJS
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タイプ4:PoE給電
ネットワークカメラ・無線アクセスポイント・IP電話のように、設置場所にコンセントがない機器へLANケーブル1本で電力を送るタイプになる。玄関先や天井といった、電源工事が必要になりがちな場所ほど効果が出る。
選定で見る数値は「給電規格」と「給電電力の合計値」の2つになる。IEEE802.3af(PoE、ポートあたり最大15.4W)とIEEE802.3at(PoE+、同30W)では、給電できる機器が変わる。
TP-Link TL-SG1005P
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ポート | 5ポート(10/100/1000Mbps) |
| PoEポート | ポート1〜4(IEEE802.3af準拠) |
| 給電電力 | 合計56W |
| 電源 | 外部ACアダプター(48VDC / 1.25A) |
| バックプレーン帯域 | 10Gbps |
| 最大消費電力 | 4.0W(PD無負荷)/64.4W(56W負荷時) |
| 外形寸法 | 100×98×25mm |
| 筐体 | 金属筐体・ファンレス |
| 動作温度 | 0〜40℃ |
給電の合計が56Wを超えた場合、優先度の低いポートの給電を遮断して過負荷を防ぐ電源管理を備える。4ポートすべてに給電機器をつなぐ設計では、1台あたり14W程度が上限になる計算になる。カメラを4台つなぐ構成なら、機器側の消費電力を先に合計しておく必要がある。
対応規格はIEEE802.3afのため、30Wを要求するPoE+機器には給電できない。近年のWi-Fi 7アクセスポイントはPoE+以上を要求する製品が増えており、Wi-Fiルーターの選び方で挙げたようなメッシュ構成をPoEで組む場合は、af止まりかat対応かを先に確認しておきたい。
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LANケーブルのカテゴリーと速度の対応
ハブを高速なものに替えても、ケーブルが規格に届いていなければ速度は出ない。規格上の対応関係は次のとおりになる。
| 通信規格 | 必要なケーブル | 最大距離 |
|---|---|---|
| 100BASE-TX | カテゴリー5以上 | 100m |
| 1000BASE-T | カテゴリー5e以上(4対) | 100m |
| 2.5GBASE-T | カテゴリー5e以上 | 100m |
| 10GBASE-T | カテゴリー6 | 55m |
| 10GBASE-T | カテゴリー6A以上 | 100m |
2.5Gbpsまでは既設のカテゴリー5eで届く点が、この規格が普及した理由になる。壁内配線をやり直さずに速度を上げられるため、賃貸やマンションの共用配線でも手が出しやすい。
対して10GBASE-Tはカテゴリー6だと55mで頭打ちになり、100mを引くならカテゴリー6A以上が要る。家庭内の数メートル程度ならカテゴリー6でも動くが、フロアをまたぐ敷設では余裕を見ておく判断になる。
消費電力と発熱で見る長期運用
ハブは24時間365日通電し続ける機器のため、消費電力の差はそのまま電気代の差になる。
1GbEの5ポート機は最大2.5W程度で、1kWhあたり31円として年間およそ680円になる。10GbEの5ポート機は最大22.5Wで、同じ計算では年間およそ6,100円まで上がる。10GbE化で増えるのは本体価格だけではない、という点は見落とされやすい。
冷却方式も長期では効いてくる。ファンレス機は可動部を持たないため故障要因が1つ減る一方、10GbEクラスでファンレスを実現するには筐体が大きくなるか、放熱設計に余裕が必要になる。ファン付き機は静音を謳っていても完全な無音ではないため、設置場所を居室内に置くかどうかで選択が変わる。
エンジニア視点で見るとどう選ぶか
判断は「宅内で完結する通信のうち、最も太い経路はどこか」を先に決めることから始まる。
NASを中心に置く構成なら、太くすべき経路はNASとPCの間になる。ここが2.5Gbps化できていれば、テレビやゲーム機がぶら下がる末端のハブは1GbEのままでよい。NASの選び方で整理したとおり、NAS側が2.5GbE止まりなら10GbEハブを入れても遊ぶポートが増えるだけになる。
段階的に上げる方針を取るなら、2.5GbEを中心に据えて10GbEはNASと編集機の2点間に絞る構成が費用対効果で見合う。全ポート10GbEのハブは、その2点間の通信量が実測で2.5Gbpsを超えてから検討しても遅くない。
PoEについては、給電したい機器の合計電力を先に出しておく。af機で足りるのか、at以上が要るのかで価格帯が変わるため、後から機器を足す予定があるなら合計値に余裕を持たせておく判断になる。
気になる点
アンマネージ機はVLANやポートミラーリング、リンクアグリゲーションといった機能を持たない。ネットワークを分離したい、通信を監視したいという要件がある場合は、価格が上がるスマートスイッチやマネージドスイッチが必要になる。
10GBASE-Tは消費電力と発熱が1GbEと比べて明確に大きい。SFP+による光接続はその点で有利だが、モジュールとファイバーの追加費用が発生し、機器側もSFP+を備えている必要がある。RJ-45と光のどちらを選ぶかは、距離と機器構成で決まる。
PoE給電の合計値は、カタログの最大値がすべてのポートに均等配分される保証ではない。1ポートあたりの上限と合計値の両方を確認しないと、機器を追加した時点で優先度の低いポートが落ちる構成になる。
まとめ
スイッチングハブの選定は、速度の数字を上げることではなく、宅内で最も太い経路がどこかを特定する作業になる。
- 末端のポート増設用途なら1GbEで足りる。金属筐体・電源内蔵・マグネット固定といった設置性で選ぶ
- NASとPC間の転送を速くしたいなら2.5GbE。既設のカテゴリー5eを流用できる点が大きい
- 10GbEは価格・消費電力・騒音のすべてが一段上がる。2点間に絞る構成から始めるのが無理がない
- PoEは速度とは独立した軸。af(15.4W)とat(30W)のどちらが要るかを機器側から逆算する
ケーブルのカテゴリーと端末側のポート速度を先に確認しておけば、ハブを買い替えても速度が変わらないという事態は避けられる。
編集者:ナナ
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