LANケーブルの選び方|CAT5e・CAT6・CAT6A・CAT8の4タイプで整理した
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LANケーブルの製品ページに並ぶのは「CAT6A」「CAT8」といったカテゴリ表記と、「10Gbps対応」「2000MHz」という数値である。この2つは並記されているため上位カテゴリほど速いと読めるが、実際に出る速度を決めているのはケーブルではなく、両端につながる機器が対応している伝送規格のほうである。1GbE同士のポートをCAT8でつないでも1Gbpsのままになる。
つまりカテゴリ選びは「速くする」ための選択ではなく、「機器が要求する等級を、使う長さで満たす」ための選択になる。ここではCAT5e・CAT6・CAT6A・CAT8の4タイプについて、伝送帯域と対応距離の関係を整理する。
カテゴリの数字は機器が要求する等級で決まる
有線イーサネットの伝送規格と、それを100mで通すために要求されるケーブル等級の対応は、おおむね次のように整理できる。
| 伝送規格 | 速度 | 100mで通すために必要な等級 |
|---|---|---|
| 1000BASE-T | 1Gbps | CAT5e以上 |
| 2.5GBASE-T | 2.5Gbps | CAT5e以上 |
| 5GBASE-T | 5Gbps | CAT6以上 |
| 10GBASE-T | 10Gbps | CAT6A以上 |
| 25/40GBASE-T | 25/40Gbps | CAT8(ただし最大30m) |
2.5GBASE-Tと5GBASE-Tは、2016年にIEEE 802.3bzとして標準化された規格である。既設のCAT5e配線で2.5Gbps、CAT6配線で5Gbpsを100mまで通せるように設計されており、配線をやり直さずに速度段階を上げられる点がこの規格の主眼だった。家庭やSOHOで2.5GbE機器を導入する場合、ケーブルを買い直さずに済むケースが多いのはこのためである。
一方で10GBASE-Tは要求が一段厳しくなる。パンドウイットが公開しているカテゴリ間の比較表では、CAT6での10GBASE-Tは「TSB-155-Aごとに制限された距離」と注記され、CAT6A以降で初めて100mが保証対象になると示されている。10GbEを前提にするなら、距離条件を気にせず済むのはCAT6Aからと考えたほうが確実になる。
4タイプの位置づけ
| タイプ | 伝送帯域 | 保証距離 | 構造 | コネクタ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| CAT5e | 100MHz | 100m | UTP | RJ45 | 1GbE・2.5GbEの既設流用 |
| CAT6 | 250MHz | 100m | UTPまたはシールド | RJ45 | 5GbEまでの新規配線 |
| CAT6A | 500MHz | 100m | UTPまたはシールド | RJ45 | 10GbEの標準解 |
| CAT8 | 2000MHz | 30m | STP | RJ45 | 25/40GBASE-T想定のラック内 |
CAT6・CAT6A・CAT8の帯域・距離・構造は、パンドウイットの比較表に記載された値に基づく。CAT8だけ保証距離が30mに落ちるのは、25/40GBASE-Tの規格自体が最大チャネル到達距離30m(リンク24m+パッチコード6m)で定義されているためである。
タイプ1:CAT5e — 既設流用で2.5GbEまで通す下限
伝送帯域100MHz、1000BASE-Tを100mで通す等級である。新規で長距離を引くために積極的に選ぶ理由は薄いが、既にCAT5eが壁内に入っている環境で2.5GbE機器へ入れ替える場合、ケーブル側は据え置きで速度段階だけ上げられる。
短尺の取り回しでも同じことが言える。ルーターとハブの間を50cm〜1mでつなぐような用途なら、CAT5eでも2.5Gbpsは問題なく通る。手持ちのケーブルを流用できるかどうかは、コネクタ付近の外被にプリントされたカテゴリ表記で判別できる。
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タイプ2:CAT6 — 5GBASE-Tまでを100mで賄う中間層
伝送帯域250MHz、導体は23または24AWGが使われる。5GBASE-Tを100mで通せる等級であり、1GbEと2.5GbEには余裕を持って対応する。
CAT6を選ぶ判断が成立するのは、10GbEへ上げる予定がなく、かつ数十m単位で引き回す場合である。Wi-Fiルーターの選び方で整理した10Gbps対応クラスのルーターでも、WAN側が10Gでプライベート側の実効が数Gbpsに収まるなら、宅内配線をCAT6で組む構成は成り立つ。逆に将来10GbEへ上げる可能性が残るなら、壁内配線のような引き直しコストが高い区間ではCAT6を選ばないほうが後が楽になる。
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タイプ3:CAT6A — 10GBASE-Tを距離条件なしで通す本命
伝送帯域500MHz、導体は23AWG、10GBASE-Tを100mで通せる等級である。パンドウイットは自社の推奨として、10GBASE-TまでのデータレートとPoE性能を両立させる目的でCAT6A/クラスEAシステムの施工を挙げている。
家庭側でCAT6Aが効いてくるのは、10GbE対応のNASやスイッチを入れた区間である。NASの選び方で扱った10GbE対応の4ベイクラスや、スイッチングハブの選び方で整理した10GBASE-T対応ハブは、いずれもリンク先までCAT6A以上でつないで初めて仕様どおりの帯域になる。アイオーデータ BSH-XGのような全ポート10GBASE-Tのハブを中心に据える構成なら、ハブから先の枝もCAT6Aで揃えるのが前提条件になる。
USB接続で10GbEを足す場合も同じで、LANアダプタの選び方で扱った10GbE対応アダプタは、ケーブル側がCAT6Aでなければ10GBASE-Tでリンクしない、あるいは短距離でしかリンクしないという結果になり得る。
23AWGの導体を使うためケーブルは太く硬くなる。外径7mm前後の製品が一般的で、CAT5eの5mm台と比べると曲げ半径が大きくなる点は配線計画に影響する。
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タイプ4:CAT8 — 30mと引き換えに2000MHzを取る階層
伝送帯域2000MHzはCAT6の8倍にあたる。構造はSTPで、隣接するケーブル間のノイズ干渉(エイリアンクロストーク)を抑える二重シールドが採られる。EMI対策が要る医療施設や機械室での敷設が想定用途として挙げられている。
ただし2000MHzという帯域が効くのは25GBASE-Tと40GBASE-Tを使う場合であり、この2つは30mという到達距離の短さからデータセンター内の用途に焦点が置かれた規格である。パンドウイットは前掲の資料の中で、発行時点で25GBASE-Tまたは40GBASE-Tで動作する機器や、その開発計画を把握していないと明記している。家庭のデスク周りでCAT8を選んでも、現状は10GBASE-Tまでの動作にとどまる。
シールド構造ゆえにケーブルは硬く、狭所での取り回しはCAT6Aよりさらに厳しくなる。ノイズ源の多い環境で短距離を確実に通したい、という目的が明確なときに選ぶ階層と整理できる。
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CAT7が選択肢に入りにくい理由
通販サイトでは「CAT7」「CAT8」を名乗る製品が並ぶが、CAT7には規格上の事情がある。
CAT7とCAT7AはISO/IEC 11801が定める性能レベルであり、TIAはこの等級を認めていない。さらに規定上のコネクタはIEC 61076-3-104または61076-3-110で、RJ45(IEC 60603-7)とは互換性がない。つまり両端がRJ45のCAT7ケーブルは、規格が定めるCAT7の構成にはあたらない。
性能面でも、CAT7とCAT7Aが提供するのは1000BASE-T・2.5/5GBASE-T・10GBASE-T・PoEのいずれもCAT6Aと同じ水準であり、25/40GBASE-Tには帯域が足りないためCAT8が別途必要になる。世界のケーブル売上に占める比率はCAT7と7Aを合わせて1%未満、CAT6が約45%、CAT6Aが約40%という推計も示されている。
RJ45コネクタが付いたCAT7ケーブルにCAT6Aのシールドコネクタを取り付けた構成は、実質的にシールド付きCAT6Aシステムを敷設したのと同じになる。この整理に従えば、10GbEを通す目的でCAT7を選ぶ必然性は乏しく、シールドが必要ならシールド付きCAT6Aを選ぶほうが素直になる。認証名と実際の性能が一致しているかを確認する必要がある点は、HDMIケーブルの選び方で扱った認証ラベルの話と構図が近い。
形状と導体で変わる実配線の条件
カテゴリが決まった後に残るのが、形状と導体構造の選択である。
| 形状 | 特徴 | 向く場面 |
|---|---|---|
| スタンダード | AWG24前後の太い導体、電気的特性に優れる | ルーターからの長距離配線、基幹側 |
| スリム | 柔らかく曲げやすい、より線仕様が多い | ラック裏、狭い隙間の取り回し |
| フラット | 平型でドアの隙間などを通せる | 敷設ルートが限られる短距離 |
サンワサプライは、スリムとフラットの共通の弱点としてスタンダードタイプに比べて引っ張り強度と耐ノイズ性能に劣る点を挙げている。ルーターからの長距離はスタンダード、ハブからの分岐はフラットやスリム、という使い分けが推奨されている。
導体構造では、単線とより線で適する長さが分かれる。より線は細い銅線を撚り合わせた構造で柔軟性が高い反面、安定性は単線に劣る。同社の解説では、10m以上は単線、5m以下はより線という目安が示されている。デスク上の1〜3m程度の取り回しであればより線仕様のスリムケーブルで問題になりにくく、床下や壁内を数十m引く区間は単線という切り分けになる。
エンジニア視点で見るとどう選ぶか
判断の順序は「機器側の伝送規格を確定させてから、その規格を使う長さで満たすカテゴリを選ぶ」になる。
現状が1GbE中心で、次の一手が2.5GbEであれば、既設のCAT5eをそのまま使える可能性が高い。この段階でケーブルに投資しても速度は変わらないため、予算はハブやアダプタ側に回すほうが効く。
10GbEを見据える場合は、区間ごとに扱いを分けるのが現実的である。壁内配線やモール内配線のような引き直しコストが高い区間は最初からCAT6Aで通し、デスク上の抜き差しする短尺は必要になった時点で足す。壁内をCAT6で通してしまうと、10GBASE-Tを入れる段になって距離条件に引っかかり、結局引き直すことになりかねない。
CAT8については、25/40GBASE-Tの機器が個人環境に降りてくるまでは先行投資の意味が薄い。同じ予算をCAT6Aの本数に回すほうが、実際にリンクする速度に反映されやすい。
気になる点
カテゴリ表記が製品タイトルにしかなく、外被のプリントで確認できない製品が一定数ある。既設ケーブルの等級を判別する手段は外被の印字が基本になるため、後から見分けられない状態は運用上の不便につながる。
「CAT8対応」を名乗りながら実際の構造や認証状況が確認できない製品も流通している。カテゴリはケーブル単体ではなくコネクタを含めたチャネル全体で決まるため、両端のコネクタが該当カテゴリのものかまで確認しないと、表記どおりの性能にならない場合がある。
25/40GBASE-Tについては、対応機器の登場時期そのものが読めない。パンドウイットの資料でも規格が導入されないとは断じていないものの、機器側の見通しが立たない以上、家庭側でCAT8を将来対応として買う根拠は現時点では弱いと整理できる。
まとめ
LANケーブルのカテゴリは、速度を上げる部品ではなく、機器が要求する伝送規格を使う長さで満たすための等級である。1GbEと2.5GbEはCAT5eで100m、5GBASE-TはCAT6で100m、10GBASE-TはCAT6Aで100mという対応関係が判断の骨格になる。
CAT8は2000MHzという帯域を持つ一方で保証距離が30mに落ち、その帯域を使う25/40GBASE-Tの機器がまだ一般的でない。CAT7はコネクタがRJ45と互換性を持たず、性能面でもCAT6Aと同水準にとどまる。10GbEまでを見据える現実的な選択は、引き直しコストの高い区間をCAT6Aで通し、短尺は用途に応じて形状を選ぶという組み立てになる。
編集者:ナナ
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