プリンターの選び方|エコタンク・カートリッジ式・モノクロレーザー・カラーレーザーの4タイプで整理した

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プリンターは本体価格の差よりも、1枚あたりの印刷コストと置き場所で総額と使い勝手が決まる機器である。店頭や通販の価格は本体だけを並べるため、年間の印刷枚数が増えるほどインク代・トナー代の差が本体価格の差を上回りやすい。

ここでは A4 の家庭・小規模オフィス向けに絞り、エコタンク式・カートリッジ式・モノクロレーザー・カラーレーザーの4タイプを、エプソンとブラザーの公式仕様で整理する。各タイプの代表機種は、エコタンク式が EW-M757T、カートリッジ式が EP-817A、モノクロレーザーが HL-L2460DW、カラーレーザーが HL-L3240CDW である。

先に確認すべき3条件

機種を見比べる前に、用途が次の3点のどこに当たるかを決めておくと選択肢が絞れる。

条件確認すること外すとどうなるか
印刷内容カラー文書か、モノクロ文書中心か、写真も刷るか写真はインクジェット側の選択になりやすく、モノクロ中心ならカラー機を選んでも単価の差が出ない
年間の印刷枚数月に何枚刷るか(カラー・モノクロ別)枚数が少ないのに大容量タイプを選ぶと本体価格の元が取れない
設置環境置き場所の奥行き・高さ・質量、電源の余裕使用時に排紙トレイが伸びる機種は、棚やラックに収まらないことがある

4タイプの比較

タイプ代表機種A4文書1枚のコスト(公表値)得意な用途
エコタンク式エプソン EW-M757Tモノクロ約1.6円/カラー約3.7円カラー文書と写真を大量に刷る
カートリッジ式エプソン EP-817Aカラー約21.2円(インクのみ)印刷頻度が低く、写真も刷る
モノクロレーザーブラザー HL-L2460DW約3.3円(ドラム込み約4.0円)モノクロ文書を高速に刷る
カラーレーザーブラザー HL-L3240CDWモノクロ約3.2円/カラー約19.3円カラー文書も含めて速度を求める

⚠️ 各社の公表条件は揃っていない。エプソンの値は増量インクボトル使用時の算出、ブラザーの値はトナー(ドラム別)の JIS X 6931 / 6932 に基づく公表値である。あくまで同じ物差しで並べた目安と読む必要がある。

タイプ1:エコタンク式(EW-M757T)

インクをボトルから本体のタンクに補充する方式。エプソンの EW-M757T はこのタイプのスタンダードモデルで、発売は2024年11月8日、エプソンダイレクトショップの販売価格は税込50,270円(2026年7月1日現在)と公表されている。

公式仕様のインク構成は染料4色+顔料1色の5色。A4文書の印刷コストは増量ボトル使用時でモノクロ約1.6円・カラー約3.7円、L判写真はインクと用紙の合計で約12.2円である。印刷可能枚数は、増量ボトルでブラック約4,000ページ・カラー約3,700ページ、通常ボトルでブラック約1,100ページ・カラー約1,000ページとされている。

印刷速度は A4 文書でモノクロ約12ipm・カラー約9.0ipm。本体は収納時 390×339×166mm、使用時 390×525×198mm、質量約6.3kg(本体のみ)。製品寿命は A4 印刷時で5万ページまたは5年のいずれか早い方と示されている。

接続は Wi-Fi 4(IEEE802.11b/g/n)と USB、自動両面印刷にも対応する。印刷コストの低さが最大の特徴で、カラー文書を継続的に大量に刷る用途に向く。

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タイプ2:カートリッジ式インクジェット(EP-817A)

インクをカートリッジで交換する従来型のインクジェット。EP-817A は2024年10月18日発売の6色染料インクのカラリオで、独立カートリッジタイプ、価格はオープンプライスである。

公式仕様では A4カラー文書のインクコストが約21.2円、L判写真のインクと用紙の合計が約37.3円と示されている。同じエプソンのエコタンク式(EW-M757T)と比べると、A4カラー文書1枚あたりでおよそ17.5円の差になる。

本体は収納時 390×339×141mm、使用時 390×598×196mm、質量約6.8kgで、収納時の高さはエコタンク式より低い。

年間の印刷枚数が少なく、写真をたまに刷る程度なら、単価の高さが総額に響きにくいため、本体価格と設置寸法を優先して選べる。枚数が増えるとインク代が本体価格の差を追い越す点が、選ぶ際の分かれ目である。

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タイプ3:モノクロレーザー(HL-L2460DW)

粉状のトナーを熱で定着させる方式で、文書印刷に特化したタイプ。ブラザーの HL-L2460DW は A4 モノクロで約34枚/分、自動両面印刷、USB・有線LAN・無線LANに対応する。

公式のランニングコストは、約5,000ページ印刷できる超大容量トナー(TN32JXXL)使用時で約3.3円/枚。ドラムを含めたトータルでは約4.0円/枚とされている。製品寿命は約5万ページまたは7年のいずれか早い方。

本体寸法は W356×D360×H183mm、質量約7.1kg(消耗品含む)。動作音は印刷中49dB(A)、待機中30dB(A)。エネルギー消費効率は年間74kWh、印刷中の平均消費電力は約460W、ピーク時は約740Wである。

⚠️ 有線LANと無線LANの両方に対応していても、接続は排他的(どちらか一方)になると公式に明記されている。また macOS 11以降ではドライバーの提供がなく、印刷には AirPrint を使う前提である。Mac 中心の環境では、この点を購入前に確認しておく必要がある。

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タイプ4:カラーレーザー(HL-L3240CDW)

同じレーザー方式でカラーに対応したタイプ。ブラザーの HL-L3240CDW は、カラー・モノクロとも約26枚/分、自動両面印刷、USB・有線LAN・無線LANに対応する。

公式ランニングコストは、大容量トナー(TN299XXL)使用時でモノクロ約3.2円/枚・カラー約19.3円/枚。ドラムを含むトータルは、モノクロ約4.0円/枚・カラー約20.1円/枚とされている。カラー1枚のコストはカートリッジ式(約21.2円)と近い水準にあり、カラー文書の単価はレーザーでも下がらない。

本体寸法は W399×D399×H239mm、質量約15.2kg(消耗品含む)で、モノクロレーザーの約2倍の重さになる。印刷中の平均消費電力は約560W、ピーク時は約860Wで、同じ電源タップに複数の機器を挿す環境では合計負荷の確認が要る。製品寿命は約10万ページまたは7年のいずれか早い方。スタータートナーは各色約1,000ページ分が付属する。

カラー文書を頻繁に刷らず、モノクロ中心でたまにカラーが要る用途に向く。

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年間枚数で見るインクコスト

公表値をそのまま掛けると、年間の印刷枚数ごとの消耗品コストは次のようになる(ドラムやその他の部品は除く。エコタンクは増量ボトル使用時)。

年間枚数エコタンク(カラー3.7円)カートリッジ式(カラー21.2円)カラーレーザー(カラー19.3円)
100枚370円2,120円1,930円
500枚1,850円10,600円9,650円
1,000枚3,700円21,200円19,300円
2,000枚7,400円42,400円38,600円

モノクロ文書に限ると、エコタンク式(約1.6円)、カラーレーザーのモノクロ(約3.2円)、モノクロレーザー(約3.3円)の差は小さく、年間1,000枚でも1,600円から3,300円の範囲に収まる。差が大きく開くのはカラー文書の単価である。

用途別の選び分け

用途適するタイプ理由
カラー文書と写真を月に数百枚以上エコタンク式カラー1枚が約3.7円で、枚数が増えるほど差が広がる
年賀状や写真をたまに刷る程度カートリッジ式枚数が少なければ、単価が高くても総額に響きにくい
書類・請求書などモノクロ中心モノクロレーザー約34枚/分で、トナー単価が安定している
仕事の資料でカラーが混じるカラーレーザー約26枚/分で、モノクロ・カラーとも高速
Mac や iPhone 中心の環境各機種のドライバー対応を確認HL-L2460DW は macOS 11以降で AirPrint 前提

エンジニア視点で見るとどう使えるか

総額を式で置く。プリンターの総コストは「本体価格+年間枚数×1枚あたりの単価×使用年数」で表せる。2026年9月29日時点のAmazon掲載価格は EW-M757TW が41,800円、EP-817A が26,164円で、差は15,636円。カラー1枚の単価差17.5円(3.7円と21.2円)で割ると約893枚で、エコタンク側の本体差額を回収できる計算になる(増量ボトル使用時の公表値ベース)。年間300枚なら約3年が目安である。

製品寿命を年数と枚数の両方で見る。EW-M757T は5万ページまたは5年、HL-L2460DW は約5万ページまたは7年、HL-L3240CDW は約10万ページまたは7年と、いずれも「枚数または年数の早い方」で示されている。年間枚数が少ない用途では年数側が、多い用途では枚数側が先に来る。

ネットワークの前提を確認する。エプソンの2機種は Wi-Fi 4(IEEE802.11b/g/n)と USB で接続する。ブラザーの2機種は有線LANと無線LANの両方に対応するが、接続は排他のため、ルーターを有線で接続する場合と無線で接続する場合で運用を決めておく必要がある。ルーターの選び方はWi-Fiルーターの選び方で整理している。

ピーク電力を電源タップの容量で確認する。レーザー機は印刷中の平均消費電力に対してピーク時の公表値が高い。HL-L2460DW は平均約460Wに対してピーク約740W、HL-L3240CDW は平均約560Wに対して約860Wで、同じ回路に複数の機器を挿す場合は合計を計算しておくとよい。タップ側の見方は電源タップの選び方を参照。

気になる点

公表条件が各社で違う。エプソンは増量ボトルを2回目以降に使用した場合で算出し、ブラザーは JIS X 6931 / 6932 の公表値を使う。単価の数字は近い水準でも、算出条件の違いを含んでいる。増量ボトルを使わない場合のコストは、条件が変わる点に注意が必要である。

レーザーは写真印刷を主目的にしない。カラーレーザーは文書のカラー印刷を想定した方式で、写真用途は各社の対応範囲を確認する必要がある。写真をよく刷るならインクジェット側の選択になる。

質量と設置スペースが機種で大きく違う。HL-L3240CDW は約15.2kgで、エコタンク式(約6.3kg)の2倍を超える。棚に置く場合は耐荷重を確認する必要がある。エコタンク式・カートリッジ式は使用時に奥行きが伸びるため、収納時の寸法だけで置き場所を決めると収まらないことがある。

本体価格は公式でオープン価格の機種が多い。EP-817A・HL-L2460DW・HL-L3240CDW は公式サイトでオープン価格とされており、示せた公式の販売価格は EW-M757T の直販価格のみである。参考として2026年9月29日時点のAmazon掲載価格は、EW-M757TW が41,800円、EP-817A が26,164円、HL-L2460DW が13,000円、HL-L3240CDW が22,444円。価格は変動するため、購入時に確認が要る。

まとめ

プリンターはカラー文書の単価で選択が分かれる。カラーを継続的に刷るならエコタンク式が約3.7円で最も低く、カートリッジ式とカラーレーザーは約19〜21円台で並ぶ。モノクロ中心なら、モノクロレーザーが約3.3円で速度と単価の両方で安定する。

年間の印刷枚数が数十〜百枚程度なら、単価の差は年間でも数千円に収まるため、本体価格と設置スペースを優先して決める整理になる。

書類の電子化にはスキャナー側の選択も関わる。用途によってはスキャナーの選び方で整理した機種のほうが合う。

編集者:ナナ

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