マザーボードの選び方|A620・B850 mATX・B850 ATX・X870Eの4タイプをAMD・ASUS公式仕様で整理した(AM5編)
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自作PCのマザーボードは、同じRyzen用のAM5ソケットでも、チップセットとサイズによって使える機能が大きく変わる。**価格差の正体は、PCIe 5.0の対応範囲、M.2スロットの数、USB4の有無、有線LANの速度といった「拡張できる量」**にある。CPUとグラフィックボードが決まっていても、ここが合っていないと後から差し替えることになる。
ここでは、AMDの公式チップセット比較表と、ASUS公式の仕様ページをもとに、A620・B850のmATX・B850のATX・X870Eの4タイプに分けて選び分けを整理する。対象はAMD AM5(Ryzen 9000/8000/7000シリーズ)で、Intel向けは含まない。組み合わせるパーツは、CPUクーラーの選び方、DDR5メモリの選び方、グラフィックボードの選び方、電源ユニットの選び方、PCケースの選び方で扱っている。
チップセットで変わる機能(AMD公式)
AMDの公式比較表では、AM5向けチップセットの違いは次のように整理できる。
| チップセット | Ryzen CPUのオーバークロック | チップセット側のUSB(5G/10G/20Gbps) | USB4 | SATA(最大) |
|---|---|---|---|---|
| X870E | 対応 | 2/12/2 | 標準 | 8 |
| X870 | 対応 | 1/6/1 | 標準 | 4 |
| B850 | 対応 | 1/6/1 | オプション | 4 |
| B840 | 非対応 | 2/2/- | オプション | 4 |
| A620 | 非対応 | 2/2/- | オプション | 4 |
AMDの同じ表では、M.2用のPCIe 5.0は、X870E・X870・B850が×4に対応し、A620・B840は4.0までとされている。CPUの倍率を上げる用途がなければA620でも成立するが、PCIe 5.0のSSDや、USB4を使う場合は、B850以上が前提になる。なお、AMDの公式ページには、600シリーズのボードでRyzen 8000/9000を使う場合にBIOS更新が必要になることがある、という注記もある。
4タイプの比較表
| タイプ | 代表機種 | サイズ | メモリスロット | M.2スロット | 有線LAN/無線 | 背面の主なUSB |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①A620 | PRIME A620M-K | mATX | 2(最大96GB) | 1(PCIe 4.0 ×4) | 1Gb/なし | USB 3.2 Gen 1 Type-A ×4 |
| ②B850 mATX | PRIME B850M-A WIFI | mATX | 4(最大256GB) | 3(5.0 ×4、4.0 ×4 ×2) | 2.5Gb/Wi-Fi 6E | 10Gbps ×2、5Gbps ×2 |
| ③B850 ATX | TUF GAMING B850-PLUS WIFI | ATX | 4(最大256GB) | 3(5.0 ×4、4.0 ×4 ×2) | 2.5Gb/Wi-Fi 7 | 20Gbps Type-C ×1、10Gbps ×3、5Gbps ×4 |
| ④X870E | ROG STRIX X870E-E GAMING WIFI | ATX | 4(最大256GB) | 5(PCIe 5.0 ×4が3つ) | 5Gb/Wi-Fi 7 | USB4 40Gbps ×2、20Gbps ×1、10Gbps ×10 |
仕様はいずれもASUS公式の仕様ページの記載。価格は販売店と時期で変わるため、表には入れていない。Amazonの国内正規代理店品は、型番の末尾に「-CSM」が付く表記のものがある。
①A620|ASUS PRIME A620M-K
予算を抑えて、グラフィックボード1枚とSSD1本で足りる構成にする場合のタイプである。
PRIME A620M-Kは、チップセットがA620のmicro-ATX。メモリスロットは2本で最大96GB、通常動作の対応は5200MT/s、オーバークロック時は7200MT/s以上とされている。PCIe ×16スロットは4.0で、M.2スロットは1本(PCIe 4.0 ×4)。SATAは4ポート、有線LANは1Gb、Wi-Fiは搭載していない。背面のUSBは、USB 3.2 Gen 1のType-Aが4つとUSB 2.0が2つである。
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M.2が1本、メモリが2本、Wi-Fiなしという構成は、後から拡張するときの制約になる。SSDを2本以上使う場合や、メモリを4枚挿す場合、無線LANを使う場合は、別途USBアダプタやPCIeカードの追加が必要になる。DDR5の容量や速度の選び分けは、DDR5メモリの選び方で整理している。
②B850 mATX|ASUS PRIME B850M-A WIFI
小型ケースで、SSDを複数載せつつ、Wi-Fiも内蔵したい場合のタイプである。
PRIME B850M-A WIFIは、チップセットがB850のmicro-ATX(24.4×24.4cm)。メモリスロットは4本で最大256GB、オーバークロック時は8000MT/s以上に対応する。Ryzen 9000/7000と組み合わせると、PCIe ×16スロットは5.0で動作する。M.2は3本あり、1本目がPCIe 5.0 ×4、2本目と3本目が4.0 ×4。有線LANは2.5Gb、無線はWi-Fi 6E(Bluetooth 5.3)で、背面は10Gbps Type-Aが2つ、5Gbps Type-Aが2つ、USB 2.0が4つ。前面にはUSB 5Gbps Type-Cのコネクタが付く。
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ASUS公式の仕様では、Ryzen 8000シリーズと組み合わせた場合のPCIe ×16スロットは4.0(×8/×4動作)に下がり、M.2の1本目もPCIe 4.0 ×4になるとされている。CPUがRyzen 9000か7000かで、5.0の恩恵を受けられるかが変わる点は、購入前に確認する条件である。背面のType-Cが無い点は、前面のコネクタとの使い分けになる。ケースの内寸は、PCケースの選び方で整理したmicro-ATX対応の条件と併せて確認する。
③B850 ATX|ASUS TUF GAMING B850-PLUS WIFI
ATXケースで、背面のUSB端子の数と、Wi-Fi 7を重視する場合のタイプである。
TUF GAMING B850-PLUS WIFIは、チップセットがB850のATX(30.5×24.4cm)。メモリ、PCIe ×16、M.2の構成は②とそろっており、4スロット・最大256GB、M.2は3本(5.0 ×4が1本、4.0 ×4が2本)。ここに加えて、背面に20Gbps Type-Cが1つ付き、10Gbps Type-Aが3つ、5Gbps Type-Aが4つ、USB 2.0が2つと、端子の数が増えている。無線はWi-Fi 7(Bluetooth 5.4)、有線LANは2.5Gbである。
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②との差は、サイズ、無線規格(Wi-Fi 6EかWi-Fi 7か)、背面のUSB端子の構成に集約される。ASUS公式の仕様では、背面のType-Cは20Gbpsで、USB4ではない。USB4やThunderbolt相当の接続が必要な場合は、後述する④か、内部ヘッダに接続するカードが前提になる。
④X870E|ASUS ROG STRIX X870E-E GAMING WIFI
M.2を3本以上使い、USB4や5GbE有線LANまで必要な場合のタイプである。
ROG STRIX X870E-E GAMING WIFIは、チップセットがX870EのATX。M.2は5本あり、Ryzen 9000/7000との組み合わせではPCIe 5.0 ×4のスロットが3本、残り2本が4.0 ×4。USBは背面に13ポートあり、USB4 40Gbpsが2つ、20Gbps Type-Cが1つ(最大30W給電)、10Gbpsが10つ(Type-A 9つとType-C 1つ)という構成。有線LANは5Gb、無線はWi-Fi 7(Bluetooth 5.4)である。
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ASUS公式の仕様には、M.2_2とM.2_3を使うと、PCIe 5.0 ×16のスロットが×8に切り替わると記載されている。PCIe 5.0対応のSSDを複数載せる構成と、グラフィックボードの帯域のどちらを優先するかは、M.2スロットの配置を見て決める条件になる。SSDの選び分けはSSDの選び方、冷却を含む外付け化はM.2 SSDケースの選び方で扱っている。
用途別の選び分け
| 使い方 | 向くタイプ | 理由 |
|---|---|---|
| 最小構成のオフィス・ゲーム用PC | ①A620 | M.2 1本・メモリ2本で足りる構成に限る |
| 小型ケース+SSD複数+Wi-Fi | ②B850 mATX | M.2が3本、Wi-Fi 6E、2.5GbEが付く |
| ATXケース+端子の数を重視 | ③B850 ATX | 背面に20Gbps Type-Cなど、USBが計10ポート |
| USB4の外付けデバイス、PCIe 5.0 SSD複数、5GbE | ④X870E | USB4 ×2、5GbE、PCIe 5.0 ×4のM.2が3本 |
選ぶ順番のチェックリスト
- ケースのサイズを決める:micro-ATXかATXかで候補が分かれる。PCケースの選び方の対応フォームファクタを確認する
- M.2の本数と世代を数える:SSDを何本、どの世代で使うかを決め、PCIe 5.0 ×4のスロット数と照らす
- メモリ枚数を決める:2スロット(①)は最大96GB。4枚構成にするなら②以降が前提
- 必要なUSB端子を書き出す:USB4が必要なら④、Type-C 20Gbpsまでなら③
- CPUの世代を確認する:Ryzen 8000シリーズは、PCIe ×16とM.2の1本目が4.0に下がる(ASUS公式の仕様より)
気になる点
- 本記事はASUS 1ブランドの整理:MSI・GIGABYTE・ASRockにも同じチップセットのボードがある。比較する場合は、各社の公式ページで同じ項目(M.2の本数、USBの種類、LANの速度)を確認する
- 価格は載せていない:マザーボードは同じチップセットでも、販売時期と店舗で価格が大きく動く
- Intel向けは対象外:LGA1851のボードは、チップセットの構成が異なるため、別の整理が必要になる
- BIOS更新の条件:AMDの公式ページでは、600シリーズのボードでRyzen 8000/9000を使う際にBIOS更新が必要になる場合がある、とされている
まとめ
マザーボードは、「ケースのサイズ」「M.2の本数」「必要なUSB端子」の順に条件を決めると候補が絞れる。
- メモリ2枚、SSD1本で足りる最小構成にしたい → タイプ①:PRIME A620M-K
- 小型ケースで、SSD複数とWi-Fiを内蔵したい → タイプ②:PRIME B850M-A WIFI
- ATXケースで、背面のUSB端子を多くしたい → タイプ③:TUF GAMING B850-PLUS WIFI
- USB4、5GbE、PCIe 5.0 SSD複数が必要 → タイプ④:ROG STRIX X870E-E GAMING WIFI
公式情報
編集者:ナナ
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